お役立ち情報

公開日:2026.09.03 最終更新日:2026.09.07

# 看板工事# 看板

屋外看板の不燃規制と建築基準法64条|防火地域で安全に設置するための基準を解説

看板の不燃規制

店舗や企業の「顔」として、集客やブランディングに欠かせない存在である看板は、街に活気を与え、ビジネスを支える大切な資産です。だからこそ、私たちはその「安全性」についても深く追求しなければなりません。
2025年に大阪・道頓堀で発生した火災事故を契機に、現在、屋外広告物の防火性能に対する社会的な関心と行政の指導が急速に厳格化されています。看板が持つ本来の訴求力を最大限に発揮し、長期にわたって安心して運用するためには、建築基準法などの「守るべき決まり」を正しく理解し、適切な設計を行うことが不可欠です。
本記事では、全国で看板の設計・各種申請支援・施工・保守をトータルで手掛ける朝日エティックが、防火地域における「不燃材料」の規制を中心に、安全で適法な看板設置のための重要ポイントを徹底解説します。

看板の防火規制

看板の防火規制は以前から建築基準法で定められていましたが、近年の重大な火災事故を機に、その重要性と法令遵守の徹底が改めて厳しく問われています。これまで、実務の現場では看板の防火対策が十分になされていないケースも見受けられましたが、この事故を契機に、人命を守るための「看板の安全性」が社会全体で再認識されることとなりました。

事故事例: 道頓堀ビル火災と看板の延焼リスク

大阪市による調査結果:半数以上が不適合という実態
2025年8月、大阪・道頓堀の繁華街にある雑居ビルで火災が発生しました。この事故では、消火活動にあたった消防隊員2名が殉職するという痛ましい結果となりましたが、その後の調査委員会による報告で、「外壁に設置されていた屋外看板が、火を伝わせ延焼を加速させた一因となった可能性がある」という指摘がなされました。大阪市が道頓堀川沿いの屋外広告物を対象に実施した一斉調査では、長年放置されていた建築基準法への不適合事例が多数確認されました(2026年3月末時点)。

調査項目(根拠法令)調査数不適合・未取得数状況の詳細
第64条(不燃材料の適合性)110件59件(54%)本来義務付けられている不燃材料が使用されていない。
第88条(検査済証の有無)78件69件(88%)工作物確認申請の完成検査未実施によって検査済証が取得されていない。
屋外広告物条例(許可)168件91件 (54%)自治体への必要な許可申請が行われていない(無許可)。
※ 出典:大阪市報道発表資料(2026年4月14日発表)をもとに作成
看板プロのアドバイス 近年の是正指導強化と「法令遵守」の重要性
各行政では現在、大阪で発生した火災事故の調査結果を受け、違反状態にある看板の設置者に対して「是正計画書」の提出を求めるなど、実効性のある是正指導を開始しています。適切な材料選定や法的手続きを行わないことは、今や人命に関わる重大なコンプライアンスリスクとして、改めて厳格な対応が求められています。

建築基準法 第64条が定める「看板の防火措置」

日本において、看板の防火に関する最も基本的なルールは、建築基準法 第64条に定められています。看板の設置場所や高さによって、使用すべき材料に制限がかかる場合があります。この条文に基づき、防火地域内に設置する看板は、その「場所」や「高さ」に応じて、燃えない材料(不燃材料)を使用する義務があります。

建築基準法 第64条(看板等の防火措置)
防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ3メートルを超えるものは、その主要部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。
都市計画区分概要
防火地域主に商業地や官公庁などの重要施設が集中する市街地に指定
準防火地域防火地域の周辺や、密集市街地に指定
※ 防火措置を理解する上で知っておくべき「都市計画」の区分

■看板を設置する際、設置場所がどの地域に該当するかによって、看板に求められる性能が変わります。
・防火地域: 一定の条件下で「不燃材料」の使用が必須となります。
・準防火地域:建築基準法 第64条の不燃化義務は適用されません。ただし、建築基準条例により制限が掛かる場合があります。

不燃材料の使用が義務付けられる条件

建築基準法第66条「看板の防火措置」

第64条では、防火地域内の以下のいずれかに該当する看板・広告塔などは、その主要な部分を不燃材料で製作するか、あるいは不燃材料で覆わなければなりません。

看板・広告塔の種類不燃化が必須となる範囲
屋上広告・屋上看板すべて
ポールサイン・パイロンサイン支柱を含めた地上からの高さ寸法が「3m」を超える場合
壁面看板・袖看板看板自体の高さ寸法が「3m」を超える場合
看板プロのアドバイス 設置場所の「都市計画区分」の確認と、必要となる「法的手続き」の確認
建築基準法上、看板の使用材料に関する規制は「防火地域」か「防火地域以外」にしか存在しないため、まず設置場所の「都市計画区分」を確認しましょう。
※使用材料以外の規制として、看板の高さが4mを超える場合に必要となる「工作物確認申請」や、各自治体の「屋外広告物条例」による規制(色・高さ・面積等)による法的手続きが必要な場合があるため、別途確認しましょう。

「不燃材料」の定義と、「防炎」との違い

防火地域内の看板材料

「不燃材料」とは、建築基準法施行令第108条の2によって定められた厳格な技術的基準に適合するものを指します。この基準に基づき、加熱試験の「耐えられる時間」に応じて、以下の3つのグレードに分類されます。

建築基準法施行令 第108条の2(不燃材料の条件)
1. 燃焼しないものであること。
2. 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
3. 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
区分加熱試験の時間看板に使用できる範囲
不燃材料
(又は大臣認定材料:NM)
20分間防火地域内外問わず、すべての看板に適用可能。
準不燃材料
(又は大臣認定材料:QM)
10分間防火地域内:屋上看板、及び高さ寸法が3mを超える看板以外に適応可能。(※)
防火地域外:すべての看板に適用可能。
難燃材料
(又は大臣認定材料:RM)
5分間防火地域内:屋上看板、及び高さ寸法が3mを超える看板以外に適応可能。(※)
防火地域外:すべての看板に適用可能。
※ 建築基準条例により制限が掛かる場合があります。

防火措置に使用される不燃材料の具体例
防火地域内の看板には、法令で定められた材料、または個別に大臣認定を受けた材料を使用する必要があります。
 法令で定められた不燃材料
 建築基準法施行令の技術的基準で定められた、材料そのものが不燃性能を持つものです。
 金属・石材類
 鉄鋼、アルミニウム、金属板、コンクリート、レンガ、瓦、陶磁器質タイル、石、ガラス、モルタル、漆喰
 ボード・繊維類
 繊維混入ケイカル板(t=5以上)、石膏ボード(t=12以上、ボード原紙t=0.6以下のもの)、
 繊維強化セメント板、ガラス繊維混入セメント板(t=3以上)、ロックウール、グラスウール板
 
 
 国土交通大臣が認定した材料(大臣認定材料:NM-〇〇〇〇)
 看板専用の資材として、メーカー各社が開発し個別に不燃認定を取得しているものです。
 (1)パネル材: 不燃アルミ複合板(不燃芯材を使用したもの)
 (2)シート材: 不燃FFシート(フレキシブルフェイス)
 (3)仕上げ材: 不燃対応マーキングフィルム、不燃認定インクジェットメディア
 (4)その他: 不燃認定インク、不燃対応ラミネートフィルム

「防火認定」と「防炎認定」の違い

非常によく混同されるのが「防火」と「防炎」です。これらは根拠となる法律も、求められる性能も全く異なります。
幕に使われる「防炎ターポリン」などの防炎認定品には、建築基準法が求める不燃性能」はありません。

比較項目防火認定防炎認定
法令建築基準法消防法
定義燃えない(非燃焼)燃え広がりにくい(自己消火性)
看板での扱い3m超・屋上看板の必須条件幕やフラッグなど移動可能なものに適用
看板プロのアドバイス 混同しやすい「防炎」と「不燃」の見極め
看板の表面に貼る「防炎認定」のみのシートやフィルムなどは、建築基準法が求める不燃性能」はありません。「防炎」はあくまで小さな火種に対して燃え広がりにくくするための消防法の基準であり、火災時の高熱に20分間耐える建築基準法の「不燃」とは、求められる性能そのものが異なります。もし不燃化が義務付けられている場所で安易に防炎材料を選んでしまうと、設置後に是正指導を受け、結果として大きな追加費用がかかる恐れがあります。計画の段階で、必要な書類(NM番号の認定書)が発行できる不燃資材かどうかを正確に見極めることが、安全と信頼を守る第一歩です。

看板素材の防火性能比較

看板素材の不燃・可燃

看板の素材には「燃えやすさ」による明確な区分があります。防火地域内の看板(屋上・3m超)において、一般的に使用される素材が適応するかどうかを一覧にまとめました。

素材防火地域の対応備考
不燃アルミ複合板〇 (不燃)防火地域の標準仕様。必ず不燃認定品を使用。
通常のアルミ複合板× (可燃)芯材がプラスチックのため不可。不燃品へ変更。
アクリル× (可燃)溶融・燃焼するため不可。不燃FFシート等で代替。
ステンレス・金属板〇 (不燃)素材自体が不燃。高い耐久性が必要な看板に最適。
鉄骨・アルミニウム〇 (不燃)看板構造体の標準素材。そのまま使用可能。
不燃FFシート〇 (不燃)アクリル・ポリカに代わる内照看板の標準仕様。
不燃対応フィルム〇 (不燃)下地・ラミネートとのセット認定が必須。
通常のフィルム等× (可燃)非認定品は不可。認定品への切り替えが必要。
不燃認定インク〇 (不燃)インクまで指定されたセット認定品を選定。
看板プロのアドバイス 看板の不燃化における「材料選定」の注意点
1. 内照式看板は「不燃FFシート」へ
内照式看板の定番「アクリル板」は可燃物のため、防火地域の屋上や3m超の看板には使用できません。代替として、不燃認定を取得した「不燃FFシート(ガラス繊維基材)」を採用することで、建築基準法に適合した安全な施工が可能となります。
 
2. 「セット認定」の厳格な管理
不燃認定(NM番号)は、「下地・メディア・ラミネート・インク」がメーカー指定の組み合わせで揃って初めて有効となります。一つでも指定外の材料が混ざると不適合となり、施工後に認定書類が発行できない事態を招くため、厳格な資材管理が不可欠です。

安全な看板設置は「トータルな視点」を持つ朝日エティックへ

安全な看板設置は朝日エティックへ

店舗や企業の「顔」となる看板は、ビジネスを加速させる強力なツールです。
だからこそ、徹底した法令遵守(コンプライアンス)と安全性という確かな土台が不可欠であると考えています。
朝日エティックは、70年以上の歴史と全国19事業所のネットワークを活かし、企画・製作から施工、アフターメンテナンスまでをワンストップでサポートする体制を整えています。ISO9001を取得した自社工場による品質管理体制のもと、全国各地のニーズに応じた安全な看板づくりに取り組んでいます。
看板本来の価値を最大限に発揮し、長期にわたって安心して運用いただけるよう、私たちがお手伝いいたします。看板に関するお悩みや、法令適合状況に関するご不安がございましたら、ぜひ朝日エティックへご相談ください。私たちは「街の安全」と「お客様の想い」を繋ぐ看板づくりを、これからも追求し続けてまいります。