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2022.12.22

# 看板# 製品

屋外看板の製作「シルク印刷」【広範囲・大量生産向き】

大型シルク印刷機

看板の意匠面を製作する方法に“印刷”があります。この印刷方法は主に2種類あり、「インクジェット印刷」か「シルク印刷(シルクスクリーン印刷)」となります。ノベルティ製作などではよくシルク印刷という名前を聞きますが、看板製作にも使われていることはご存知でしたでしょうか?
今回はこのシルク印刷の、メリット・デメリット、仕組み/工程、シルク印刷看板の製作例についてご紹介いたします。強みと弱みの両方をご理解頂いたうえで、このシルク印刷を用いた看板製作を是非、ご検討頂ければと思います。
 

シルク印刷とは

シルク印刷(シルクスクリーン印刷)とは、「版」と呼ばれるポリエステルなどの合成繊維を格子状に織ったスクリーンメッシュに、インクが通過する部分とインキが通過しない部分を作り、その版の上にインキを乗せスキージ(ヘラ状の道具)で穴の部分からインキを押し出して、文字や絵を対象物に印刷する孔版印刷の一種です。

写真やグラデーションを使った複雑なデザインなどはインクジェット印刷を使うことが多いですが、反対に看板の色が2~3色程度で文字や図だけの比較的シンプルなデザインはシルク印刷が最適です。

「シルク印刷」看板のメリット・デメリット

メリット・強み

(1)低コストで大量生産が可能
版を作成してしまえば同じデザインを大量生産することができ、1度に印刷する数量が多ければフィルム貼りより安く製作することができます。さらに色別に版を作るため、色数を減らせばその分だけコストの節約が可能です。

(2)色彩の再現力が高い
CMYKの4色のインキでは再現できない特色も使用できるため、企業ロゴなどのコーポレートカラーも、「DIC」や「PANTONE」などを参考に色指定して頂ければ、より忠実に再現することができます。※DIC……DIC株式会社が製造しているインキ。DICカラーガイドという色見本帳があり、「DIC○○番」という番号で希望色を指定することができる。※PANTONE……アメリカのPANTONE社が製造しているインキ。世界共通の色見本長を元に色番号を指定することができる。

(3)対応可能な素材が多い
アクリル、アルミ複合板、金属など、様々な素材に対応できます。さらに、木版や銅版と違い版自体に柔軟性があるので緩い曲面であれば印刷できる場合があります。

(4)耐候性が強いので屋外使用も可能
インキの耐候性に加えて、透明基材の裏面に印刷することでキズや紫外線劣化などの影響を受けにくく、長期間の屋外使用が可能になります。基材の表面に印刷する場合はオーバーコートすることで耐候性を上げることも出来ます。

(5)立体的な看板にも対応可能
印刷したのちに成形をすることで立体的な看板を作ることが出来ます。立体形状の表面にフィルムを貼る場合、どうしても継ぎ目が発生するため、きれいに貼ることが難しく作業時間もかかります。
 

デメリット・弱み

(1)少数生産だと割高になる
シルク印刷には版が必要のため、版の製作費がかかります。一度製版(版の作成)してしまえば同じ看板を大量に製作することが可能なため、1つあたりのコストを節約することができますが、逆に製作数が少なければ、割高になってしまいますので注意が必要です。

(2)製作に時間がかかる
まず製版に最低でも1ヵ月程度必要です。インキの調合も併行して行います。印刷は内容や数量によって期間は変動しますが、製版後、完成まで1~2週間程かかりますので、余裕をもった製作計画が必要です(リピート品の場合は製版を省くことが出来ます)。

(3)多色使用に不向き
2色なら2版、3色なら3版と、色数に合わせて版が必要です。多色刷りは製版数が増えるため高コストになる可能性があります。基本的に1版あたり1色ずつしか印刷できないため、混色表現やグラデーションなどの複雑な色使いには不向きです。

印刷する面、素材で印象が変わる

「表印刷」と「裏印刷」

シルク印刷(表印刷・裏印刷)

不透過素材は「表印刷」となりますが、透過素材は「裏印刷」も可能です。例えば透明アクリル板を表から印刷するとツヤ消し調になり、裏から印刷すると光沢が際立ちます。
表印刷は耐候性を上げるためオーバーコートを付加する必要がありますが、素材の透過性に関件なく印刷が可能です。一方、裏印刷は透過材に限定されますが、キズや紫外線劣化などの影響を受けにくいです。

AL複合板3t+表シルク印刷(余白あり)

【例】AL複合板3t+表シルク印刷(余白あり)
不透過のアルミ複合板に、青色・クリア(オーバーコート)の2層で表印刷です。白縁はアルミ複合板の素地色(印刷していない場所)になります。またこの部分は印刷工程の都合上、必ず発生する余白です。
白色をそのまま利用して縁アリにしたり、印刷後に四隅をカットして縁ナシにしたり、加工が容易な複合板の特性を利用して角を丸くしたりなど、デザインの幅を広げることも可能です。

PC透明3t+裏シルク印刷(余白なし)

【例】PC透明3t+裏シルク印刷(余白なし)
透過のポリカーボネートに、青色の1層で裏印刷です。裏印刷の場合、ポリカーボネートという素材の特性を活かせるため光沢が出ます。透過素材への印刷は、色によって印刷の仕上がりが淡くなる可能性もありますが、側面にも色が反射し全体的に統一感を出すことができます。また背面から照明を用いた場合は裏から光が透過し違った演出なども可能です。

看板のシルク印刷でよく使われる素材

(1)アクリル
ポリカーボネートと比べ加工がしやすくコストも安価なプラスチックです。透明度も高く、軽くて強度にも優れていることから、ガラスの代用品としてもよく用いられています。

(2)ポリカーボネート
アクリルよりコストは高めですが同様に透明度が高く、耐衝撃性や耐久性に優れております。またアクリルが可燃性であるのに対して難燃性のため、特に火災に対する安全性が重視される建材としてはより適しています。

(3)アルミ複合板
丈夫で耐久性・耐水性に優れており、屋外看板や店頭のメニューや価格表などに多く使用されています。温度による収縮やゆがみなどが少なく、加工のしやすさや軽くて扱いやすいことが特徴です。

(4)ステンレス
高級感がある素材のため、社名看板や店舗ロゴ看板などに多く使用されています。ヘアラインや鏡面タイプなど様々な表面加工、厚みの種類などがあり、看板の大きさや雰囲気に合わせて選択できます。

「シルク印刷」の仕組み/工程

シルク印刷の仕組み

< 版の作成 >

シルク印刷 版の作成

アルミ枠にスクリーンメッシュを張り、紫外線で硬化する感光材を塗布します。印刷したい絵や文字の形状のポジフィルムで覆い紫外線を照射します。紫外線が当たらず硬化しなかった部分を水で洗い流した後、乾燥させて完成です。
版は色別に作成するため、使用する色の数に合わせて版を作成します。
 

< 印刷の準備 >

シルク印刷準備

作成した版を印刷機にセットして基材の印刷位置に合わせます。次にインキの粘度を調整します。粘度が違うと色の濃さに影響がでます。印刷前に基材の印刷面の汚れやほこりを取ります。汚れやほこりがついていると、印刷が途切れたり、ピンホールができたりしてきれいに印刷できない可能性があります。
 

< 印刷 >

スキージでインキの押出し

インキを版の上に直接載せ、スキージでインキを押し出していきます。スキージで刷るときは、一定のスピードで均一な圧力をかけるのがポイントです。スキージに与える力加減や、スキージの角度によっても、印刷面に付着するインクの量は変化します。それぞれのデザインにあわせ、細かな調整が必要です。
 

< 乾燥 >

シルク印刷乾燥

印刷後は、ラックに載せて自然乾燥もしくは強制乾燥を行います。強制乾燥の場合は専用の乾燥炉に入れて、インキの種類に合わせた乾燥温度・時間でしっかり乾燥させます。これでシルク印刷の全行程が完了します。

「シルク印刷」はこんな看板にオススメ

シルク印刷は一度版を作成してしまえば、同じ看板を大量生産する事ができます。そのため、全国展開しているお客様や多店舗を経営されているお客様など、同じ看板が複数必要な場合に最適です。また色の再現性が高いため、コーポレートカラーを使用した看板にもオススメです。

シルク印刷 大型看板

■大型看板(主面板)
企業ロゴがある看板の場合でも、DICカラーなどを参考に色を指定して頂ければコーポレートカラーも忠実に再現することができます。広範囲に印刷ができるため大型看板にも対応可能です。

【製作例】
・透明アクリル5㎜厚 2500×2000㎜(材料寸法)
・シルク印刷5色
・R形

シルク印刷 大型看板

■大型看板(主面板)
シルク印刷とプレス成形を組み合わせることで、立体的な看板を製作することができます。同じ版・型があれば同品質の看板を効率良く製作することが可能です。

【製作例】
・透明アクリル5㎜厚 2000×2000㎜(材料寸法)
・シルク印刷3色
・ペン皿

シルク印刷 大型看板

■大型看板(副面板)
シルク印刷は単色ベタの印刷がきれいに表現できます。色数を抑え生産個数を増やせば、その分コスト削減に繋がります。

【製作例】
・透明アクリル3㎜厚 2200×675㎜(材料寸法)
・シルク印刷2色
・R形

シルク印刷 キャノピー面板

■キャノピー面板
ポリカーボネートに適したインキを使用しています。基材それぞれに適したインキの選定を行います。

【製作参考例】
・透明ポリカーボネート3㎜厚 2946×810㎜(材料寸法)
・シルク印刷2色
・平板

よくあるご質問

シルク印刷にかかるイニシャルコストは何ですか?

項目詳細
版代色数分の版 ※3色なら3色必要
色校正費色数分の校正 ※白or黒で標準色なら色調整不要
試作費量産前の仕上がり確認用

版の製作など、生産開始までの準備期間はどれくらいでしょうか?

印刷データ完成後、「版製作」は平板の場合で約2週間、成形品の場合で約3週間です。版数が多い場合は1ヶ月くらい掛かる事もあります。「色見本による調色」は約10日間かかります。「量産前の最終確認」は約1週間かかります(但し実際にはお客様での承認期間となります)。納品の場合は完成次第発送、設置まで当社にお任せいただける場合は事前にお打合せのうえ施工いたします。

屋外看板シルク印刷(量産までの準備期間)

1ヶ月あたりの最大生産数はどれくらいでしょうか?

【平板の場合】
・小型面板(500角以下):約4000枚/月
・大型面板(2000角程度):200枚/月
※ただし工場の生産工程(山積み)によります

余白がある場合、各辺それぞれ何mmほど印刷できないでしょうか?

【平板の場合】
・小型面板(500角以下):最小周囲6mm
・大型面板(2000角程度):最小周囲10mm
※余白なしのベタ仕上げの場合は、印刷後のカット工程が必要です。

4隅穴加工はサイズや位置に指定はありますか?

特に制限はないので自由に決めていただいて大丈夫です。オプション加工で「4隅R加工」「4隅穴加工」も承ります。

サンプルを見せて頂くことは可能でしょうか?

色見本をいただき数種類の試刷りする事は可能です。但し使用色によっては別途費用を頂戴する可能性があります。詳しくは当社営業までお問い合わせください。

シルク印刷とインクジェット印刷と、どちらか安いですか? 

条件によって差が出てきますので、一概にどちらが安いとはお答えできません。
インクジェット印刷は「小ロットでもコストを抑えられる、フルカラーや写真の印刷できる」などのメリットがありますが、「大ロット、色数が少ない、定期的に製作する」場合は、シルク印刷の方がコストを抑えられます。インクジェットでは印刷できない素材もシルク印刷は可能などの特徴の違いもあり、自分の用途・要望にあった印刷方法をお選びいただければと思います。

シルク印刷の「版」の保管期間はいつまでですか? 

特に決まっていませんが、3年間使用実績が無い場合は処分の対象となります。

まとめ

「シルク印刷」看板のメリット・強み
(1)低コストで大量生産が可能
(2)全国展開など多店舗を経営されているお客様向け
(3)コーポレートカラーなど色指定が可能
(4)対応可能な素材が多い
(5)屋外仕様にも対応可能

シルク印刷機はそう簡単に使いこなせず、製作には職人の技術とノウハウが必要です。当社には経験豊富な専門技術者が在籍しておりますので、高品質な看板製作が可能となっております。また当社の神戸工場には国内最大クラスの大型シルク印刷機(最大印刷寸法3,050㎜×2,200㎜)がございますので、大型看板の製作も対応可能です。自社工場での製作・経験豊富な専門技術者により、全国どこでも同一品質の製品を供給致します。
看板製作から看板設置に伴う付帯工事まで、ワンストップで対応可能ですので、相談・質問などございましたらお気軽に当社までお問合せください。