お役立ち情報

2023.01.05

# 看板# 製品

看板製作「カッティングシート(マーキングフィルム)貼り」【図・文字向き】

マーキングフィルム・カッティングシート

看板の意匠面を製作する方法には “フィルム貼り”と“印刷”などがあります。今回はフィルム貼りの一つ「マーキングフィルム」を使用した看板のメリット・デメリット、屋内外用それぞれの特徴、貼付け方法などをご紹介いたします。強みと弱みの両方をご理解頂いたうえで、マーキングフィルムを用いた看板製作をご検討頂ければと思います。
 

マーキングフィルム・カッティングシートの万能性

「マーキングフィルム」とは、色と粘着剤が付いた装飾用フィルムのことです。カッティングシートとの呼び名が有名ですが、カッティングシートという名称は株式会社中川ケミカルの登録商標のため、一般的に看板業界では総称してマーキングフィルムと呼びます。フィルムの主な基材はポリ塩化ビニル(塩ビ)ですが、この基材が使われる主な理由は、コスト面・作業性に優れているからです。
あらかじめフィルムをカッティングマシンで意匠データ通りに形状カットし、アクリルやFFシート、パナグラシート、壁面パネル、ガラス面などに貼付けて使用します。ウィンドウサインなどの屋内使用はもちろん、壁面看板や建植看板などの屋外使用も可能です。

「マーキングフィルム」看板のメリット・デメリット

メリット・強み

マーキングフィルム・カッティングシートの屋外耐候性

(1)屋外耐候性に優れている
多くのマーキングフィルムは、雨や風、紫外線など屋外環境に強い特長を持っています。看板の仕様や設置されている場所・地理的条件にもよりますが、5~7年と長期使用が可能なので、屋外看板の意匠などにも用いる事ができます。

マーキングフィルム・カッティングシートの発色

(2)鮮やかな発色で人目を引く
単色ではありますが色の種類が豊富な為、理想に近い色を選択する事ができます。フィルム自体にあらかじめ色が付いている為、塗装と違い色ムラやはみ出す事がありません。また文字やロゴを切り抜いて貼れば、下地の素材・色を活かした看板になります。

マーキングフィルム・カッティングシートの柔軟性

(3)あらゆる面に貼付けできる
マーキングフィルムは、非常に柔らかく柔軟性があります。その為、ガラス・アクリル・プラスチック・ステンレスなど様々な場所に貼付けることができます。ただし凹凸が激しい面は貼りにくい為、その場合はアルミ複合版やアクリル板などの平滑な板材に貼ってから設置します。

マーキングフィルム・カッティングシートのカラーバリエーション

(4)豊富なカラーバリエーション
単色・メタリック・蛍光・透明など様々なパターンがある為、表現の幅が広がります。また各メーカーの色品番を指定して頂ければ、色イメージの不一致などによるやり直しが避けられます。

デメリット・弱み

マーキングフィルム・カッティングシート複雑な形

(1)細かい表示の製作が難しい
小さすぎる部分はどうしても接着面が少なくなるので、密着性・耐久性が低くなってしまいます。屋外看板で使用するなど、常に外気に触れる状況下では、ある程度の大きさが必要です。またカットにあたり1つのパーツ同士の距離が狭すぎたり連結部分の長さが短かったり、鋭角な図形は対応できない場合もありますので、製作会社に相談することをお勧めいたします。

マーキングフィルム・カッティングシートの色展開

(2)印刷と比べると表現が限られる
色の種類が豊富とはいえ、インクジェット出力フィルムで表現できるグラデーションや写真に比べると複雑な表現はできません。看板にマーキングフィルムを用いる場合は、複数色で表現できる単色ならではの持ち味を活かしましょう。

使用条件に合わせたフィルム選択が大事

マーキングフィルム・カッティングシートのトラブル(チョーキング)

チョーキング現象

ひび割れ現象

フィルムのトラブルで良く目にするのが、時間の経過と共に看板のカラー部分にひび割れが生じたり、一部粉が吹くチョーキング現象かと思います。これらの原因の一つとして、経年とともに設置環境や使用条件に合ったフィルムを選定できていなかったことが考えられます。看板の顔である意匠面に退色や劣化があると、店舗自体の印象、集客率にも影響する可能性がある為、より的確なフィルム選択が求められます。また優秀な集客ツールである看板ですが、一般的に頻繁に作り変えるものではありません。せっかく看板を設置したのにすぐ作り変えるということが無いように計画をたてましょう。

屋外看板用のフィルム
屋外用のフィルムは屋外で使用することを前提に作られている為、粘着性、耐候性に優れており、変形・変色・劣化等の変質を起こしにくい性質も持っています。屋外耐候性の目安は各メーカーのブランドごとに定められていますが、代表的な耐候性の目安として、短期(数か月~1年程度)、中期(3~5年程度)、中長期(5~7年程度)、長期(8年程度)となっています。
屋内看板のフィルム
屋内用のものは粘着の性能や耐候性が屋外用と比べて劣りますが、安価で手に入れることが出来ます。ほとんどのシートが表面と裏面(粘着面)は同じ色ですが、裏面にグレーや白色が付いているタイプもあります。表裏が同じ色のシートは、店舗のガラス面など内側からも外側からも見る可能性がある際にも最適です。
内照式看板のフィルム
内照式看板やディスプレイ用には光がキレイに通る透過タイプが最適です(メーカーによっては透過・透明・半透明タイプと表現しています)。基本的に内照式看板などは全面に光が入りますが、例えば3Mスコッチカルのブロックアウトフィルムを表面あるいは裏面に貼ることで部分的に完全遮光することも可能です。
ガラス面貼付のフィルム
フィルムによっては、日光により熱割れが生じる可能性がある為、各フィルムメーカーも注意喚起を行っています。直射日光の当たるガラス面にフィルムを貼る場合は、別途確認することをお勧めいたします。

「マーキングフィルム」の貼付け方法

カットされたフィルムを貼り付ける方法として大きく分けて2種類あります。素材、大きさ、設置する場所などを考慮したうえで、最適な貼付け方法を選択します。成形品など立体的な所はホットジェットで柔らかくしてから引き延ばすように貼り付けていきます。大型なものを貼り付ける際は特に技術を要しますので、キレイな仕上がりにする為にも製作経験が豊富な看板会社に頼むことをお勧めします。

素貼り/ドライ

マーキングフィルム・カッティングシート素張り(ドライ)

カッティング処理されたフィルムにリタックフィルム(主に和紙を使用)を重ねておきます。貼付け作業時に裏面のフィルムをはがし、リタックフィルムに必要な意匠部分を移し、施工面に貼付け、リタックフィルム(和紙)を剥がして完成させます。

【長所】
・細かい文字でも貼付ける事が可能
・垂直面や、水気を嫌う場所でも作業が可能
【短所】
・失敗して貼り直す事が困難
・リタックフィルムを剥がす時に、
 下地の塗装面も剥がれる事がある

水貼り

マーキングフィルム・カッティングシート水貼り

水1リットルに対して、家庭用の食器用洗剤を0.3%程度混ぜた水を使用して、フィルムを貼る方法です。当社工場ではまずアクリル/シート等の素材表面のゴミを水で洗い流し、厚みの半分まで切り込みを入れたハーフカットフィルムを貼付け、余分な水を外に押し出した後、不要部分のフィルムをめくり完成させます。

【長所】
・大きな面積を貼る時に効率が良い
・水が残っているうちは、何回でも貼り直すことが可能
・素貼りに比べて、作業工程が少ない
・素貼りよりも密着が良い
【短所】
・細かい文字を貼るのは苦手
・垂直面での作業は困難

【○】 貼付けやすい素材【×】 貼付けにくい素材
▼表面が滑らかな素材・面
アルミ複合板、ガラス、金属、ステンレス、プラスチック、塗装済の木材、鏡 など
▼表面に凹凸がある素材・面
ガラス、金属、プラスチック、塗装無の木材、布、コンクリート など

まとめ

マーキングフィルムは看板を「書く」から「貼る」に大きく変化させ、今では看板製作に必要不可欠な存在となりました。それと同時に、色の指定・データ通りの形状カットにより、同一品質の看板製作も可能となりました。
ご紹介している通り、各種メーカーは大きく分けて、「屋内用・装飾用マーキングフィルム」と「屋外用マーキングフィルム」の2種類を展開しています。専門知識を持った人であれば、使用条件を確認したうえで最適なフィルムを選択できますが、一般の方・不慣れな方は幅広い種類に迷ってしまうことと思います。フィルムの効果を最大限発揮させるためにも、マーキングフィルムを使った看板の製作は、経験豊富な看板会社に相談・依頼して頂くことをお勧めいたします。
当社は3M、リンテック、中川ケミカル、トーヨーケムなど、主要なマーキングフィルムメーカー製品を扱った看板製作実績が豊富にございます。製作から設置まで、看板の事なら当社にお任せください。