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2022.09.08
# 看板# 製品# その他
切り文字看板の種類と選定目安【素材の特徴と合わせてご紹介】
看板はビジネスの宣伝やブランドのイメージ形成において非常に重要な役割を果たしており、「文字」は看板にとって重要な要素の一つです。画面に印刷するのではなく文字に直接厚みを持たせる看板は「立体文字看板」と呼ばれ、主に「切り文字看板」と「箱文字看板」という2つの種類に分けることができます。
本記事では、切り文字看板を中心に素材ごとの特徴や種類、選定目安となる情報をご紹介します。
その名の通り板材を切って製作します。金属板、プラスティック板、シート材、木材などが素材として用いられ、ほとんどがコンピューター制御のNCルーター/レーザーで製作されています。シート材の場合はカッティングマシンを用いて製作します。
NCルーター:ドリルのような刃(エンドミル)を回転させて切断する。
NCレーザー(加工機):レーザー光にて切断する。
切り文字看板で使用する素材の種類
ステンレス
ステンレスは鉄を主成分としたクロム系との合金です。クロムと酸素の化合物が不動態被膜を形成するため、錆びにくいのが特徴です。表面処理には様々な種類がありますが、看板の用途で特に多い表面の仕上げは主に以下の二つとなります。一般的には、表面が滑らかであるほど錆びにくくなります。
【ステンレスの特徴】
・耐食性が高い
・高級感がある
・鏡面、ヘアラインなど研磨仕上げが可能
▼関連実績
リニューアル工事|株式会社トータルメディア開発研究所様
表面仕上げの例①
ヘアライン:単一方向への研磨によりつけた長い筋目がついている。光沢をなくし、つや消しを行なうことで落ち着いた雰囲気、高級感を演出できる。
表面仕上げの例②
鏡面仕上げ:その名の通り鏡のような見た目で、反射率が高い仕上げ。細かい粒度の研磨材で研磨しさらに鏡面用バフで仕上げたもの。
アルミ
アルミは軽さや耐食性に優れています。加工のしやすさと軽さにおいては先ほどのステンレスよりも上です。融点が低く延びもよいので鋳造や塑性加工にも適している他、切削加工もしやすく溶接も可能です。 多くの加工法が使えるため様々な形に加工できます。アルマイト等で表面処理を行うことで錆にくくなり、耐候性もあるため屋外使用が可能です。軽量なので取り付けなども容易に行うことができます。
【アルミの特徴】
・耐食性が高い…表面処理(アルマイト等)塗装が必要
アクリル
アクリルの特徴は透過性が高く、耐久性にも優れている点です。
アクリル板を切り出して製作する切り文字は、表面と切り口が同色になるので側面から見ても見栄えが損なわれません。しかし耐熱性には弱く、野外で使用すると伸縮する可能性がありますので、屋内での利用が推奨されます。
アクリルには押出製法とキャスト製法の2種類がありますが、切り文字を作成する場合は大きさや厚みによってどちらを使用するか選ぶ必要があります。押出製法はキャスト製法よりも安価で切断面もつるつるとした仕上がりになりますが、キャスト製法に比べて熱の影響が出やすいのです。その為、高出力でカットしなければならない厚みのあるものであればキャスト製法の使用が推奨されます。
【アクリルの特徴】
・透過性が高い(種類による)
・耐久性が高い
カルプ
発泡ウレタン樹脂に添加剤(カルシウム)を加えた複合材で、カルシウム・イン・プラスチックを略してカルプと呼んでいます。
このカルプボードをカットして製作した切り文字がカルプ文字です。
金属系サインに比べて非常に軽量で扱いやすく、耐久性の面では金属に劣るものの、耐水性・耐候性もあるため屋外使用も可能です。
表面にカッティングシート貼りや塗装を施せば、演出の幅も広がります。他の種類に比べて安価で製作できます。
【カルプの特徴】
・軽量で扱いやすい
・厚みが必要な立体文字に最適
▼関連実績
オフィスサイン・スタジオサイン設置工事|株式会社バックス
アルミ複合板
アルミ複合板とは、発泡ポリエチレン樹脂等の芯材を2枚のアルミ板で挟んだものです。
芯材が樹脂であるため金属板と比較して軽量で扱いやすく、また耐候性や耐水性が高いタイプもあり屋外使用が可能です。加工も容易で様々な意匠や納まりに対応できます。一方、剛性に優れていてたわみも少なく、強い衝撃にも耐えられるといった特徴があります。
防火性芯材など不燃性を付加した材料を使用して不燃認定を取得しているアルミ複合板もあり、防火地区内の屋上看板や高さ3mを超える看板を設置する際、また内装制限で規定されている屋内など、不燃性が求められる場所で用いられています。
【アルミ複合板の特徴】
・軽量で扱いやすい
・加工性が高い
・平滑性が高い
比較による切り文字看板の選定目安
切り文字看板に用いられる代表的な素材について、一般的な厚みや特徴などを比較表にしました。
ステンレス | アルミ | アクリル | カルプ | アルミ複合板 | |
厚さ(mm) | 2,3,4,5 | 2,3,4,5 | 2,3,5,8,10,15,20 | 15,30,50 | 3 |
最小線幅(mm) | 3~ (板厚以上) | 5~ (板厚以上) | 5~ (板厚以上) | 5~ (文字形状による) | 5~ |
材料価格指数※ | 7.6 (厚み3mmの場合) | 2.8 (厚み3mmの場合) | 2.3 (厚み3mmの場合) | 5.7 (厚み15mmの場合) | 1 (厚み3mmの場合) |
燃焼性 | 不燃 | 不燃 | 可燃 | 難燃 (材料メーカーによる) | 難燃または不燃 (材料メーカー及び種類による) |
特徴 | ・耐食性が高い ・高級感がある ・鏡面、ヘアライン等研磨仕上げが可能 | ・耐食性が高い (アルマイト等の表面処理、塗装が必要) | ・透過性が高い(種類による) ・耐久性が高い | ・軽量で扱いやすい ・厚みに必要な立体文字に最適 | ・軽量で扱いやすい ・加工性が高い ・平滑性が高い |
※アルミ複合板を1として比較
立体文字看板のデザインの決め手
立体文字看板は厚みとその部分の処理がデザインの決め手です。
切り文字看板は板材の厚みがそのまま文字の厚みになります。角をカットしたり丸みをつけたりすることでより立体感を強調させることができますが、その効果は書体の持ち味によって異なります。単色だと文字判読性が悪くなる場合があるので、側面を取付壁面と同色にすると良いです。
立体文字看板に最適な文字サイズとは
文字の読みやすさを決める要素は以下の3つと言われています。
①視認性:パッと見た瞬間に認識しやすいか
②判読性:誤読がないか
③可読性:文章が読みやすいか
文字の書体や大きさを変えることで、これらの要素を高めることができます。
屋外は情報量も多く移動しながら見る傾向が強いため、屋外に設置される看板では要点を端的に伝えることが重要です。そのようなケースでは、最も重要な要素は視認性(遠くからでもしっかりと字が認識できること)となります。
それでは看板の文字サイズは一体どのように決めていけば良いのでしょうか。
着目すべきポイントは、看板をどれくらい離れた位置から見るかによります。距離によって最適な文字サイズというのは変わってくるのです。国土交通省の「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」では、視距離別に文字の大きさの目安が示されています。
視距離 | 和文文字高 | 英文文字高 |
30mの場合 | 120mm以上 | 90mm以上 |
20mの場合 | 80mm以上 | 60mm以上 |
10mの場合 | 40mm以上 | 30mm以上 |
4~5mの場合 | 20mm以上 | 15mm以上 |
1~2mの場合 | 9mm以上 | 7mm以上 |
また文字の読みやすさはサイズだけでなく背景の色彩にも左右され、背景と文字の色はコントラストが大きいほど読みやすくなります。黒下地に白文字の場合は膨張して見えるため、その場合は文字をやや細めに、逆の場合は文字をやや太めにする方が見やすくなります。
立体文字看板に最適な書体とは
読みやすさも重要ですが、看板の場合は必ずしも読みやすさだけで書体を選ぶものではありません。
看板の文字は、ビジネスにおいて効果的な宣伝手段であり、ブランドイメージの形成に欠かせない要素です。フォントはビジネスの性質やターゲットと合致するものを選ぶことが重要です。視覚的な魅力を持ちつつ、読みやすさを考慮しましょう。
看板を通してイメージを正しく伝えることが重要です。看板デザインの場合は以下のことを心がけましょう。
・伝える内容にふさわしいイメージの書体
・判読性の高い書体
・美しい書体
今回は主な書体2つの特徴を解説します。
ゴシック体
太さが均一のため要点などを「見る」ことに適した書体です。道路標識に用いられていることからもわかりますが、遠くからでも目立たせる必要があるものに適しています。
【特徴】
・縦線と横線の太さが均一
・はらいの部分が細くならない
・うろこ(三角型の山)がない
【与える印象】
・親近感
・力強さ
・安定感
・カジュアル
明朝体
線の強弱があり文字を小さくしても文字の形が判別しやすく、新聞や「読む」ことに適した書体です。
【特徴】
・縦線と横線の太さが均一ではない
・はらいの部分が細くなる
・うろこ(三角型の山)がある
【与える印象】
・高級感
・繊細さ
・上品さ
・伝統
まとめ
ここまで製作に用いられる素材の特徴のほか、フォント、サイズ選びの参考となる情報をお伝えしてまいりました。
看板はデザインや雰囲気によって店舗のイメージを左右する重要な役割を担っています。店舗の立地条件や形状によって、効果的な看板は変わってきますので、その店舗に合った看板を計画することが重要になります。
朝日エティックでは事前調査を含めた提案から設置後のメンテナンスまでワンストップで看板工事をお引き受けしております。
ご希望の形状やサイズなど、詳細をヒアリングさせていただいた上で最適なご提案をさせていただきますので、店舗や施設に看板掲出をお考えの方は是非ご相談ください。
※参考
『屋外広告の知識 第四次改訂版 デザイン編』 -株式会社ぎょうせい
『公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン』 -国土交通省