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2021.08.18

# その他

今更聞けないカーボンニュートラルとは? |照明のLED化は2030年までに

カーボンニュートラルという言葉をよく見聞きするようになりました。様々な企業がCO2削減に取り組むことになりますが、当社として注目したいのが照明のLED化です。
今回は、カーボンニュートラルの全体像と共に、照明のLED化についてお伝えしていきます。

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カーボンニュートラルとは、ライフサイクルにおけるカーボン(二酸化炭素)の排出量をニュートラル(中立化)にすることで、わかりやすく言うと、「地球上で生み出されるCO2(二酸化炭素)の量と、植物の光合成などによるCO2の吸収量を同量にし、実質的なCO2排出量のプラスマイナスゼロを目指す」という概念になります。
企業においては、CO2の排出量が高い産業部門等でカーボンニュートラルに向けた対策が求められることになります。例えば、鉄鋼や化学などの産業分野、住宅、ビルなどの空調・照明等の使用、自動車や物流などによるCO2排出削減などが挙げられます。

カーボン・オフセットとの違い

カーボン・オフセットは、カーボンニュートラルの前段階と言えるような概念です。 カーボンニュートラルでは「CO2排出量を実質ゼロにする」取り組みが求められますが、カーボン・オフセットでは、「CO2をどのくらい削減するか」、「いつ・どのような取り組みをするか」といった目標設定は企業側に委ねられています。 つまり、カーボンニュートラルとカーボン・オフセットは、「CO2の吸収・削減」の方向性は同じですが、「どのくらいCO2を吸収・削減するか」の目標が設定されているかどうかが大きな違いとなります。 大きな目標である「カーボンニュートラル」を実現するためには、カーボン・オフセットへの取り組みを深化させていく努力が不可欠だと考えられています。

2050年カーボンニュートラルにコミットしている国はどこなのか

経済産業省の資料によると2050年までのカーボンニュートラルにコミットしている国は23カ国・1地域です 。 これらの国における世界全体のCO2排出量に占める割合は23.2%(2017年実績) 米国も2050ネットゼロを表明した場合には、世界全体のCO2排出量に占める割合は37.7%にな ります。 2021年1月時点で、EU、イギリス、アメリカ、中国などの先進諸国が、2050年までのカーボンニュートラルを宣言しています(中国は2060年)。 また、2050年カーボンニュートラルを宣言した国の同盟(Climate Ambition Alliance)には、121カ国とEUが加盟しています。

日本も「2050年カーボンニュートラルを目指す」ことを宣言

カーボンニュートラルが世界的な流れになっていることから、日本でも2020年10月26日に第203回臨時国会において「2050年カーボンニュートラルを目指す」ことが、宣言されました。これによって、日本国内においてカーボンニュートラルへの注目度が高まりました。

いつまでに、カーボンニュートラルが必要?

カーボンニュートラルがいつまでに必要なのでしょうか?2020年から運用開始した、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、今世紀後半のカーボンニュートラルを実現するために、排出削減に取り組むことを目的とする、とされています。 これに加えて、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「IPCC1.5度特別報告書」によると、産業革命以降の温度上昇を1.5度以内におさえるという努力目標(1.5度努力目標)を達成するためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要という報告がされています。

こうした背景に加えて、各国の野心的な目標の引き上げなどの気運もますます高まっており、「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指す動きが国際的に広まっています。

誰が、カーボンニュートラルを表明しているの?

カーボンニュートラルを目指しているのはどの国なのでしょうか?2021年1月20日時点では、日本を含む124か国と1地域が、2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しています。これらの国の、世界全体のCO2排出量に占める割合は37.7%となります(エネルギー起源CO2のみ、2017年実績)。2060年までのカーボンニュートラル実現を表明した中国も含めると、全世界の約3分の2を占めており、多くの国がカーボンニュートラルの旗を掲げていることがこの宣言は国だけではなく、企業においてもカーボンニュートラルを目指す動きが進んでいます。

カーボンニュートラルを宣言した企業の中には、日本企業の名前も多くあります。2050年のカーボンニュートラルを宣言した日本の取り組みは、今どうなっているのでしょうか?

なぜ、「カーボンニュートラル」を目指すのか?

「カーボンニュートラル」はいろいろな意味で使われることがある言葉ですが、日本が目指す「カーボンニュートラル」とは、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを意味しています。菅総理は2020年10月の所信表明演説で、「2050年にカーボンニュートラルを目指す」ことを表明しました。では、なぜ、カーボンニュートラルの実現を目指しているのでしょうか?

それはご存じのとおり地球温暖化への対応が喫緊の課題であることに加え、カーボンニュートラルへの挑戦が次の成長の原動力につながるからです。

世界では、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げ、大胆な投資をする動きがあいつぐなど、気候変動問題への対応を“成長の機会”ととらえる国際的な潮流が加速しています。世界中のビジネスや金融市場も、その潮流の中で大きく変化しています。カーボンニュートラルへの挑戦は、社会経済を大きく変革し、投資をうながし、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出すチャンスなのです。

とくに昨今では、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を考慮して投資をおこなう「ESG投資」が世界中で拡大しているため、環境への配慮は企業にとっても取り組むべき重要課題となっています。先進国を中心に、企業も生き残りをかけて、カーボンニュートラルを目指す技術のイノベーションの開発に大規模な投資をおこなっています。日本は、国としてカーボンニュートラルの技術開発を目標とし、産学官連携のもと長期的な視野に立ち、その実現を目指しています。

菅総理の所信表明演説でも、「もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策をおこなうことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です」と述べられました。カーボンニュートラルへの挑戦は、世界のグリーン産業をけん引し、日本が掲げる「経済と環境の好循環」を生み出すカギになると期待されているのです。

「カーボンニュートラル」を実現するための対策、その方向性は?

「カーボンニュートラル」は、本当に実現できるのでしょうか。実際は「2050年までに達成」という目標は、大変困難であるといわれます。具体的にどのような対策が必要となるのでしょうか。エネルギー起源CO2に関する対策の大きな方向性について、以下の図をもとに解説していきます。

エネルギー起源CO2の排出量を考える際の指標として、「エネルギー消費量」と「CO2排出原単位」があります。「エネルギー消費量」はその名の通り、エネルギーをどれだけ使用するのかという意味ですが、エネルギーの使用には電力として消費するものもあれば、熱や燃料として利用する非電力でのエネルギー消費もあります。一方、「CO2排出原単位」とは、燃料を燃焼したり電気や熱を使用するなど、ある一定量のエネルギーを使用する際に、どのくらいのCO2が排出されるかを示すものです。燃料を燃焼したり電気や熱を使用したりすることで排出される「エネルギー起源CO2」は、以下の式で表されます。

エネルギー起源CO2の排出量=CO2排出原単位×エネルギー消費量 CO2排出原単位:一定量のエネルギーを使用する時に排出されるCO2排出量 エネルギー消費量:エネルギーを使用した量

上の図でいうと、縦軸のCO2排出原単位と、横軸のエネルギー消費量をかけ合わせたもの(つまり、面積に該当するもの)が「エネルギー起源CO2の排出量」になります。カーボンニュートラルを達成するためには、「CO2排出原単位」と「エネルギー消費量」を低減し、この面積をゼロにしていく必要があります。では、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか?

省エネルギー・エネルギー効率の向上

CO2排出を低減するために、まずできることはエネルギー消費量を減らすこと(省エネ)です。節電などがすぐに思いつくかもしれませんが、エネルギー効率の高い製品にすることによっても、エネルギー消費を抑えることができます。しかし、それだけではエネルギー使用量をゼロにすることは難しく、これだけでカーボンニュートラルを達成することはできません。

特集記事 何故、LEDは省エネなの? | LEDが省エネになる理由 を見る
→特集記事 LEDとは?| 発光ダイオードの特徴を解説 します を見る

CO2排出原単位の低減

省エネと同時に、一定量のエネルギーをつくる場合のCO2排出量(CO2排出原単位)を減らすことも必要です。電力部門では、再生可能エネルギー(再エネ)や原子力発電の利用といった「電源(電気をつくる方法)」の非化石化をすすめること、あるいはCO2を回収・貯留して利用する「CCUSやカーボンリサイクルを併用した火力発電を使うことなど、電源の脱炭素化を進める必要があります。カーボンニュートラルを達成するためには、電力部門のCO2排出原単位をゼロにする、つまり電源の脱炭素化が前提になってくるでしょう。

一方、非電力部門では、CO2排出原単位を低減するために何ができるでしょうか。エネルギーを自動車など動力の燃料として利用したり、産業部門や家庭部門で熱として利用したりすることでもCO2は排出されてしまいます。そこで、使用する燃料をより低炭素なものに転換したり、水素やバイオマス、合成燃料などに転換すれば、CO2排出原単位を低減することができます。CO2排出原単位を下げれば、CO2の総排出量を削減することにつながるのです。

非電力部門の電化

非電力分野では、高熱利用や燃料利用など脱炭素化が技術的に難しかったり、高コストになったりする場合もあり、電力部門と比較すると、比較的CO2排出原単位を低減することが難しいと言われています。そのため、排出原単位のより小さい電力をエネルギーとして利用することで、二酸化炭素排出量(面積)を小さくします。電化を進めるとともに電源の脱炭素化をおこなうことで、CO2排出量(面積)を小さくすることができるのです。

ネガティブエミッション

省エネやCO2排出原単位の低減、電化の取り組みをしても、どうしても脱炭素化できない部門や、CO2の削減に膨大なコストがかかってしまう部分もあります。また、非エネルギー起源の温室効果ガスの排出もあります。そうした分野については、植林を進めて光合成に使われる大気中のCO2の吸収量を増やしたり、「BECCS」(バイオマス燃料の使用時に排出されたCO2を回収して地中に貯留する技術)や「DACCS」(大気中にすでに存在するCO2を直接回収して貯留する技術)といった「ネガティブエミッション技術」を用いることによって、大気中のCO2を減少させることができます。

CO2排出を全体としてゼロに

上記のように、カーボンニュートラルを目指すためには、①省エネ、②電源の脱炭素化や非電力部門のCO2排出原単位の低減、③非電力部門の電化、④ネガティブエミッションを組み合わせ、トータルでのカーボンニュートラルを目指すことが重要です。

カーボンニュートラルに向けた対策とは?

経済産業省では、具体策としてこのような項目をあげています。
・鉄を作る高炉からのCO2排出を減らす「水素還元製鉄技術」や、セメントの製造工程で発生するCO2を原料や川下のコンクリート製品で再利用する「カーボンリサイクル」等
・太陽光発電による創エネ技術と高断熱やHEMS(ヘムス)による省エネ技術で、住宅やビルで消費するエネルギーとつくり出すエネルギーをプラスマイナスゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」や「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」等
・EV自動車や、水素を燃料にして動く自動車、船舶、航空機など、ガソリン以外の燃料の活用
参考資料:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーンイノベーションの方向性」p09~12
何より、カーボンニュートラルを実現するには、電力部門の脱炭素化が大前提となります。同時に、非電力部門では、電化や水素化などの「CO2を排出しないエネルギー」へ転換を進める必要があります。このように各所の取り組みにより、2050年には排出量と植林やDACCSなどによるCO2の吸収を相殺することで、実質排出0トンにしていくことを目指しているのです。

カーボンニュートラルが日本企業の活動に与える影響

「2050年カーボンニュートラル宣言」が日本企業に与える影響はどのようなものでしょうか。「発想の転換」、 「変⾰」といった⾔葉を並べるのは簡単ですが、 実⾏するのは、並⼤抵の努⼒ではできません。

排出量が高い産業部門等でCO2削減が求められる

CO2を多く排出している鉄鋼や化学などの産業分野、住宅、ビルなどにおける空調・照明等の使用によるCO2排出、自動車や物流におけるCO2排出削減が求められます。 CO2排出量が高い部門に関連する企業は、カーボンニュートラルに向けた対策をより求められることになります。

具体的なカーボンニュートラルに向けた対策・取り組みの一例

・鉄を作る高炉からのCO2排出を減らす「水素還元製鉄技術」や、セメントの製造工程で発生するCO2を原料や川下のコンクリート製品で再利用する「カーボンリサイクル」等

・太陽光発電による創エネ技術と高断熱やHEMS(ヘムス)による省エネ技術で、住宅やビルで消費するエネルギーとつくり出すエネルギーをプラスマイナスゼロにする「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」や「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」等

・EV自動車や、水素を燃料にして動く自動車、船舶、航空機など、ガソリン以外の燃料の活用

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

企業のCO2排出量削減を後押しする税制や補助金があるのはご存知ですか?
日本政府は企業がカーボンニュートラルを促進するための設備投資「グリーン投資」に対して、特別償却や税額控除の優遇税制を行うと発表しています。(2021年度 税制改正大綱)
この「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」では、CO2などの温暖化ガス削減に有用な設備導入に「取得金額の50%の特別償却」又は「取得金額の5%の税額控除(温暖化ガス削減に著しく資するものは10%)」などの優遇税制が活用できます。
例えば、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーに関する設備導入が該当します。

カーボンニュートラル宣言を行っている企業はESG評価が高まる

近年注目度が高まっている概念がESG投資です。ESG投資とは、「環境・社会・ガバナンス」に重点を置いて企業を評価し、投資先を決定するという考え方です。ESG投資は、近年広がりを見せているSDGsやCSRなどの活動とも深く関わっており、その重要性は年々増してきています。 カーボンニュートラル宣言を行っている企業は、「環境」への配慮をしていることになるので、ESG投資において投資家からの評価を高めることができます。

カーボンニュートラル実現に向けた日本企業の取組

どうやってカーボンニュートラルを実現していくのか、日本企業の取組事例をご紹介します。

日本初のカーボンニュートラル・ステーションを実現した「阪急電鉄 摂津市駅」

阪急電鉄の摂津市駅は、日本で初めてのカーボンニュートラル・ステーションとして知られています。摂津市駅では、太陽光発電やLED照明の導入によって年間で約36トンのCO2削減を行いました。この事例は、企業がカーボンニュートラルを実現していくうえで分かりやすいモデルケースではないでしょうか。

まずは2030年までに蛍光灯を使用した従来型のサインや照明を、省電力・長寿命のLEDへ。

エネルギー基本計画(平成26年4月)では、「高効率照明(例:LED照明、有機EL照明)については、2020年までにフロー(生産)で100%、2030年までにストック(設置台数)で100%の普及を目指す」としています。
高効率照明は、蛍光灯市場ではLED照明や有機EL、白熱灯市場はLED照明と電球型蛍光灯が想定されています。これにより、省エネ対策前と比較して、2030年度に238万kLの省エネ効果と言われています。
CO2の削減と同時に、企業のランニングコスト(光熱費)削減にも大きな効果を見込むことができます。当社では、蛍光灯を使用した従来型のサインや照明を、省電力・長寿命のLEDへと変更することで、省エネはもちろん看板や屋外広告、店舗デザインに革新をもたらすお手伝いをしております。
カーボンニュートラル実現に向けてLED照明の導入をご検討の方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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まとめ

日本でも「2050年カーボンニュートラルを目指す」ことが宣言されたことで、企業の脱炭素対策がこれまで以上に求められていくでしょう。企業のグリーン投資を促すために「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」の導入も進んでいます。これにより、企業が排出するCO2を削減することができる「太陽光発電システム」といった設備の導入などがより行いやすくなります。
当社では、自社開発のLED照明器具の製造・設置や、太陽光発電システムの設備工事などを行なっております。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

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