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公開日:2024.12.24 最終更新日:2026.09.07

# 工場・倉庫# 熱中症対策# 塗装工事# 工事

工場・倉庫の遮熱塗装と断熱塗装|効果・費用・選び方の違いを比較

遮熱塗装と断熱塗装の違い

「夏季の作業効率低下」「冬季の健康リスク」「高騰する電気代」など、工場・倉庫の運営において温度管理とコスト抑制は避けて通れない課題です。これらを解決する有力な手段として「遮熱塗装」と「断熱塗装」が注目されていますが、「自社の環境にはどちらが最適か」「導入費用にどの程度の差があるか」という点でお悩みの方も多いのではないでしょうか。
一般的に、夏の暑さ対策を低コストで実現したい場合は「遮熱」、年間を通じた省エネや寒さ・結露対策も重視する場合は「断熱」が選ばれる傾向にあります。本記事では、施工実績に基づく機能や費用の具体的な違い、2025年施行の熱中症対策義務化への対応などを、特定のメーカーに縛られない施工会社の視点で詳しく解説します。
 

遮熱も断熱も方向性は似ていますが、効果や特徴に大きな違いがあります。

項目遮熱塗装断熱塗装
主な機能太陽光(赤外線)を反射し、熱の侵入を抑制熱伝導を抑制し、熱の移動を遮断
作用原理塗膜表面で太陽光エネルギーを跳ね返し、建材の蓄熱を防ぐ。日傘効果塗料内の微細な空気層や中空セラミック、特殊な樹脂などが熱の伝達を阻害する。魔法瓶効果
得意な季節夏(日差しが強い時期に効果を発揮)夏・冬(年間を通して効果に期待)
夏場の効果屋根や外壁の表面温度上昇を最大15~20℃程度抑制し、室内温度上昇を2~5℃程度抑制できる場合が多い。外からの熱の侵入を遮断し、室内温度上昇を抑制。遮熱と異なり、日差しがなくても効果を発揮。
冬場の効果基本的に効果なし。室内の熱が外へ逃げるのを防ぎ、暖房効率を高める。 室内温度低下を抑制し、保温効果を発揮。
省エネ効果主に冷房費の削減に貢献。冷暖房費の両方の削減に貢献。
費用※㎡単価 ¥2,000〜(仮設等 ¥6,000〜) 
比較的安価~中程度。一般的なウレタン・シリコン塗料よりは高価だが、フッ素系など高性能塗料と同等レベル。
※㎡単価 ¥9,000〜(仮設等 ¥8,000〜) 
高価な傾向。特殊な材料を使用するため、一般的な塗料より高くなる。
耐久年数5~10年程度(使用する樹脂の種類による)。長寿命なものが多い(使用する材料やメーカーによる)。
結露抑制間接的な効果は限定的。直接的な効果が期待できる。室内外の温度差を緩和し、表面結露の発生を抑制。
防音効果ほぼ期待できない。製品によっては、塗膜の厚みや特殊構造により、期待できる場合がある。
汚れの影響影響は大きい。さほど影響は無い。
施工時の注意点    下地の状態や色の選択が重要。ムラなく均一に塗布する必要がある。規定の膜厚を確保することが非常に重要。下地処理も入念に行う必要がある。
※金額はあくまでも参考値です。塗料や条件により金額は変動いたします。

遮熱塗装

遮熱塗料の特徴

遮熱塗装は、太陽などの熱を反射する効果があり、熱が建物内部に伝わるのを防ぐことができます。屋根や外壁の状態に合わせて最適な遮熱塗料を選定し施工することで、夏場の室温を抑えることができ、省エネ効果や快適な環境が期待できます。※遮熱塗装には断熱材のような熱を逃がさない効果はありません
注意点は、塗装した面が汚れると反射効果が低減することです。本来の効果を発揮するためにも、汚れがつきにくいと塗装を使用すること、また定期的な清掃が求められます。

【主な効果や特徴】
・反射効果
・省エネ/節電
・断熱塗料より安価

断熱塗装

断熱塗料の特徴

断熱塗装は、熱伝導を抑えることができ、外部からの熱が伝わりづらく、内部からの熱を逃がさない効果があります。この機能性の高い断熱塗料を使用することで、夏は涼しく冬は暖かく室温をたもつことができ、節電にも繋がります。また塗料の選択によって防水効果、防音効果も期待できます。
注意点は、断熱性、防水性、耐久性などの機能性に優れているぶん塗料自体の価格が高い傾向にあります。ただし耐用年数が長いため、メンテナンスの頻度が低くなるメリットもあります。

【主な効果や特徴】
・反射および断熱効果
・省エネ/節電
・防音効果
・防水効果

工場・倉庫が暑く寒い構造的理由

日本の工場・倉庫で多く採用されている折板屋根やスレート屋根は、耐久性や施工性に優れる一方で、構造上、外部の熱の影響を受けやすい特性があります。そのため、外気温の変化が室内環境に反映されやすく、夏季・冬季ともに空調負荷が高まりやすい傾向があります。ときには室内が外気以上の高温環境となり、暑さ指数(WBGT値)が高い水準に達するケースも見られます。ここでは、工場・倉庫において室温が安定しにくい主な要因を、「暑さ」「寒さ」の両面から整理します。

工場・倉庫が「暑くなりやすい」主な理由

1. 建物構造と熱伝導の影響
金属製の折板屋根やスレート屋根は、直射日光や外気温の熱を室内へ伝えやすく、空調負荷を増大させます。築年数の古い建物では、省エネ基準の違いにより断熱材が不足していることも多く、外部からの熱影響を受けやすい傾向があります。

2. 天井窓からの輻射熱の影響
採光用の天井窓は、夏季に日射の影響を直接受けやすくなります。太陽光に含まれる「輻射熱」は、空気ではなく物体に直接作用し、床面や設備、人体の体感温度を上昇させ、実測室温以上に暑さを感じさせる要因となります。

3. 内部発熱と換気バランス
稼働中の機械設備や照明、人員からの内部発熱は常に発生します。換気が不十分だと熱が室内に滞留し、外部熱も加わって温度が上昇します。建物規模やレイアウトと換気設備のバランスが悪い場合、十分な排熱ができないことも多いです。

工場・倉庫が「寒くなりやすい」主な理由

1. 断熱性・気密性の影響
断熱材の不足や経年劣化、壁・屋根・窓の気密性の低下は、冬季において暖気の流出や外気の侵入を招きやすくなります。特に金属製の屋根や外壁は熱を伝えやすいため、外気温が低い場合、室温も影響を受けやすい傾向があります。その結果、暖房効率が低下しやすくなります。
2. 空間特性による暖房効率の低下
工場や倉庫は天井が高く暖気は上部に滞留しやすいため、床付近との温度差が生じます。搬入口やシャッターの頻繁な開閉で暖気が流出し外気が流入すると、空調負荷とエネルギーコストが増加する可能性があります。

【悩み別】遮熱・断熱塗装の最適な選び方

室内の温度を下げたい

室温の温度を下げたい

 遮熱塗装   断熱塗装  がおすすめです
遮熱塗料や断熱塗料には特に夏場の室温を下げる効果が期待できます(目安2~3℃)。遮熱塗料は断熱材のような効果はないものの、断熱塗料よりかは初期導入コストを抑えやすいため、導入計画や予算に応じてお選びください。

夏は涼しく、冬は暖かくしたい

夏は涼しく冬は暖かくしたい

 断熱塗装  がおすすめです
夏と冬の快適な室温を実現するには、断熱塗料がおすすめです。断熱塗料には、夏に最適な効果(熱を反射する効果)と、冬に最適な効果(熱を逃がさない効果)と、両方を兼ね備えておりますので、1年を通して快適な室温を保つことができます。

折半屋根による室温上昇を抑えたい

折半屋根による室温上昇を抑えたい

 遮熱塗装   断熱塗装  がおすすめです
金属の屋根は素材が薄く熱が伝わりやすいので、それが室温上昇の原因にもなっています。遮熱塗料により、外気温30℃の場合に折半屋根の表面温度が50℃から30℃に下がった実績もありますので、室温上昇を抑えたい方は是非ご検討ください。

最上階による室温上昇を抑えたい

最上階による室温上昇を抑えたい

 遮熱塗装   断熱塗装  がおすすめです
太陽に近い最上階は施設内でも特に影響を受けやすく、屋根の表面温度が室内温度に直結しやすくなります。空調を使用しても外的要因が大きい場合その分電気代などに負担がかかります。遮熱塗料または断熱塗料で屋根材が熱くなるのを抑えることができれば、外部からの熱による干渉を軽減することができます。

天井が高く空調が行き届かない

天井が高く空調が行き届かない

 遮熱塗装   断熱塗装  がおすすめです
吹き抜けなどで天井が高く空間が広い場合は冷暖房が効きづらくなります。冷暖房などは取り入れつつ、遮熱塗料や断熱塗料を組み合わせることで、電気代などの負担を減らすことができます。

雨音などがうるさい

雨音がうるさい

 断熱塗装  がおすすめです
防音や遮音に特化した塗料はありますが、断熱塗料にも防音効果は期待できます。理由としては、機能性の無い一般的な塗料に比べ塗布部分の表面が厚くなる傾向にあり、空気の振動(音)が伝わりにくくなるためです。屋根に断熱塗装をすることで、屋根に当たる雨音の軽減などにも期待がもてます。

「遮熱塗装」施工例

屋根塗装工事(遮熱機能)

遮熱塗装(before)

遮熱塗装(after)

項目概要
面積約 120 ㎡
場所建物屋根
工期3日間
塗料サーモアイSi(屋根用高日射反射率/ 遮熱塗料)
期待耐用年数約5年
※各項目は、工法・床面積・状態によって変動いたします

屋根遮熱塗装工事(遮熱機能)

遮熱塗装(before/after)

遮熱塗装(サーモグラフィ画面)

項目概要
面積約450 ㎡
場所建物屋根
塗料ササーモアイSi(屋根用高日射反射率/ 遮熱塗料)
高圧洗浄・下地処理の上、錆止1回、中塗、上塗
※各項目は、工法・床面積・状態によって変動いたします

外壁塗装工事(遮熱機能+ 光触媒機能)

遮熱塗装(before)

遮熱塗装(after)

本工事は、経年劣化による雨漏りの解消を目的としており、外壁下地の補修とともに、長期的な資産価値の維持と職場環境の向上を見据えた塗装を実施いたしました。塗料には、「光触媒機能」と「遮熱機能」を併せ持つ高機能材料を採用し、セルフクリーニング効果による美観維持に加え、太陽光による室温上昇を抑えることで、施設内の環境改善を図っています。

項目概要
施設製造工場
面積約1,000 ㎡
場所建物外壁
工期約70 日間
塗料オプティマスホワイトペイント
期待耐用年数耐汚染性や耐候性は、10 年程度
塗装費用約600 万円(㎡単価の計算部)
※各項目は、工法・床面積・状態によって変動いたします

2025年6月施行|熱中症対策義務化

近年の夏季における高温傾向は、製造業や物流業をはじめとする現場環境に大きな影響を与えてきました。特に工場・倉庫では、建物構造や内部発熱の影響により高温環境になりやすく、従業員の体調管理や労働安全の観点から、より高度な対策が求められてきました。こうした背景を受け、国は職場における熱中症対策の強化を進め、法令上の位置づけを明確化しました。これにより、暑熱環境への対応は「推奨」から「管理責任」へと段階が引き上げられました。

義務化された「熱中症対策」の具体的な要件

2025年6月1日より、改正された労働安全衛生法が施行され、一定条件下における熱中症対策が事業者の義務として明確化されました。特に、暑さ指数(WBGT値)が28度以上、または気温が31℃以上の環境下で1時間以上の連続作業、または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業に対しては、具体的な対策の実施が求められます。 ※詳細は最新の法令・通達をご確認ください。

項目具体的対策罰則
報告体制の整備熱中症の兆候がある労働者を早期に発見し、適切に報告できる体制を構築すること。6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
実施手順の作成熱中症が疑われる労働者への対応方法を明確なマニュアルとして整備すること。6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
関係者への周知徹底管理者・従業員に対し、対策内容や対応手順を周知し、理解を促すこと。6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
※上記刑事罰の他にも、義務違反には都道府県労働局長等による使用停止命令といった行政処分や、労働者の安全を確保する安全配慮義務違反として民事上の損害賠償責任が発生するリスクも伴います。

今回の法改正により、熱中症対策は一時的な取り組みや努力目標ではなく、企業が必ず果たすべき安全配慮義務の一環として、組織的かつ継続的に実施すべき管理事項として位置づけられました。工場・倉庫を管理する事業者には、冷風機の設置やスポットクーラーの導入といった単発的な対処にとどまらず、作業環境の継続的なモニタリング、建物・設備を含めた根本的な環境改善、さらには従業員への教育や運用体制の整備までを含めた包括的な対策が喫緊に求められています。今後は、「暑さへの対応」ではなく、「暑熱リスクを管理する仕組みの構築」こそが、現場運営における最重要テーマの一つになると考えられます。

遮熱・断熱対策の検討タイミングと施工の流れ

遮熱・断熱塗装の効果を最大限に引き出すためには、暑さ・寒さが本格化する前の早期検討が重要です。工場・倉庫の施工は、現地調査や劣化診断に基づいた工法選定に加え、社内予算の確保や操業スケジュールの調整を含めると、ご検討開始から着工まで半年以上の期間を要するケースもございます。
▼シーズンに向けた対策スケジュールの目安
シーズン開始の約6〜8ヶ月前〜: お問合せ・現地診断・建物劣化調査の実施
シーズン開始の約4〜6ヶ月前〜: 調査報告・最適な工法選定・お見積りのご提示
シーズン開始の約3〜4ヶ月前〜: 社内の予算確保・最終仕様の確定・ご発注
シーズン開始の直前〜: 近隣挨拶・施工着手(操業への影響を最小限に抑えた工程調整)
※上記は一般的な流れであり、建物の規模や劣化状況、施工内容によって期間は変動いたします。詳細な工程については、現地調査のうえ個別にご提示させていただきます。

朝日エティックの「工場・倉庫の作業環境改善ソリューション」

大切な資産である工場や倉庫を、より長くベストな状態に保つためには、塗装以外のメンテナンスも重要になってきます。朝日エティックは、「建築・土木工事」、「内外装工事」、「電気・計装・防爆工事」、「看板工事」など塗装工事以外のあらゆる事業も展開しており、工場・倉庫にいま必要な工事をあわせて承ることができます。問題が発生してからと言わず、余裕がある今のうちに工場や倉庫のトータルメンテナンスの計画をご検討頂ければと思います。お悩み・相談事などありましたら、お気軽に当社までお問合せください。