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2024.05.31

# 省エネ# その他

企業の電気代削減に向けた効果的戦略【すぐ実践したい対策4選】

日々多くの電気を消費する企業にとって、電気代削減は重要な課題です。夏にかけて実施された「酷暑乗り切り緊急支援」による補助は2024年10月使用分より減額となり、大手電力各社でも電気代の値上がりが発表されています。
本記事では電気使用量を減らすために検討すべき対策と共に、今後の電気代値上がりの見通しについてもご紹介してまいります。企業としてできる電気代削減対策を実施し、持続可能な経営を目指しましょう。

対策が必要な部分をイメージしやすいように、例として「卸・小売店」「製造業」の夏季・冬季における電力消費の内訳がわかるイメージを用意しました。左が夏季、右が冬季となります。
割合は異なりますが、いずれも空調・照明にそれなりの電気を消費していることがわかると思います。空調も照明も一般的な設備のため、この2種に限らずどのような企業でもこれらの対策は必須です。

■卸・小売店の電気消費内訳

電力消費の内訳(卸・小売店-夏季)

電力消費の内訳(卸・小売店-冬季)

■製造業の電気消費内訳

電力消費の内訳(製造業-夏季)

電力消費の内訳(製造業-冬季)

出典:資源エネルギー庁
夏季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
冬季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)

電気代削減対策1:照明器具のLED化

照明器具LED化

LEDは蛍光灯と比較したとき、消費電力は50%削減、寿命は約4倍となります。
光源の発熱量も少なく、間接的に空調の利用も抑えることにも繋がります。
蛍光灯は2027年末に製造・輸出入禁止となってしまうため、今後駆け込み需要により価格高騰や工事日程の調整がつかなくなる事態も懸念されます。
LED化は早めに検討を進めることをお勧めします。

▼LEDが省エネとなる根拠は、下記の記事で更に詳しくご紹介しています。
何故、LEDは省エネなの? | LEDが省エネになる理由

導入事例


電気代削減対策2:空調利用の最適化

排熱の効率を上げて空調利用を最適化

余計な電力消費を防ぐには、空調機器が余計に稼働しないように「排熱の効率を上げること」「屋外からの熱の影響を抑えること」が肝心です。

排熱の効率を上げるには、まず室外機のチェックから行いましょう。空調機器は室内の熱を外に運び出し室外機から熱を吐き出す仕組みです。吹き出し口周辺に空気の流れを妨げるような物は置かないようにし、風が強い日は埃や落ち葉などのごみが付着していた場合はこまめに取り除きます。
フィルター、熱交換器、ファンなどのエアコン内部の汚れ対策には定期的なオーバーホールが推奨されます。

遮熱塗料や断熱塗料による保護

屋外からの熱の影響を抑えるには、遮熱塗料や断熱塗料による建物の保護がお勧めです。
遮熱塗料は太陽光による熱を反射する働きがあります。熱くなった屋根や外壁の影響を受けると室内温度が上昇しますので、夏場の気温の上昇を抑えたい場合に適しています。
一方、断熱塗料には熱を伝わりにくくするという働きがあります。夏は屋内に熱を伝えにくく、冬は内側の熱を逃がさない機能も兼ね備えています。

大きな開口部がある施設はシートシャッターの設置も効果的です。スピーディな開閉で空気の移動を最小限に抑えることができます。さらに空調効率を高めつつエネルギー消費量を抑えるには、サーキュレーターを併用し空気循環させることも有効です。

導入事例


電気代削減対策3:太陽光発電設備の導入

太陽光発電設備の導入

太陽光発電設備を導入すれば、電気を自給自足し電力会社から購入する電気を少なくすることが可能です。
太陽光発電は全量売電型、余剰売電型、自家消費型の3つに分類できます。FIT制度における電力の固定買取価格が年々下がってきていることから、現状は自家消費型が費用削減として効率的と言えます。
中でも消費電力が多く屋根が広い施設は、太陽光で発電した電力を余すことなく消費できるため自家消費型に向いています。スーパーや冷蔵倉庫などが該当します。
一方、電力消費がそれほど多くない施設の場合は余剰売電型の方が適しています。ドラッグストアや普通倉庫などが該当します。

2024年からは、広い屋根を有している企業にとってメリットが見込まれる状況です。
屋根に設置する太陽光発電の導入拡大が重要視されていることから、2024年度は法人向け屋根区分の固定買取価格が新設され、地上設置型よりも固定買取価格が高く設定されています。容量による区別もなく10kW以上で一律の買取価格となります。

電源規模2022年度2023年度2024年度2025年度
事業用太陽光発電
(地上設置)
10kw以上
50kw未満
11円10円10円10円
事業用太陽光発電
(地上設置)
50kw以上
入札対象外
10円9.5円9.2円8.9円
事業用太陽光発電
(屋根設置)
10kw以上地上設置と
区別なし
(上半期まで)地上設置と区別なし
(下半期より)12円
12円11.5円

導入事例

電気代削減対策4:蓄電池の導入

蓄電池設備の導入

太陽光発電による電力を効率的に使用するには蓄電池の導入が有効です。天候に左右されることなく再生可能エネルギーが活用できるためCSR活動の一環としても注目されています。災害時などは長時間に及ぶ停電にも対応できるようになるため、BCP対策を目的として太陽光発電設備と併用して導入している企業もあります。

高圧電力契約の場合は、ピーク時の使用電力を蓄電地から賄うことで電気料金のうち基本料金を抑えることに繋がります。
基本料金は月々の電気使用量に関わらず、主に【契約電力】によって計算方法が変わります。500kw未満の高圧電力の場合、契約電力は実量制によって算出されます。

契約電力高圧電力
(50~500kw)
高圧電力
(500~2000kw)
特別高圧電力
(2000kw以上)
契約電力の計算方法実量制協議制協議制

最大デマンド値と基本料金

ここで基準となるのは「過去1年間のピーク消費電力(デマンド値)」です。
デマンド値とは、「30分間のうちに消費された電力の平均値」のことを言います。30分ごとの平均使用電力量を計測し、1ヶ月のうち最も電気使用量の多かった時間帯の数値がその月のデマンド値としてカウントされます。そして当月を含む直近12か月のうち最も高いデマンド値が契約電力の基準となるのです。
500kw以上の場合は協議制となりますが、その場合も最大デマンド値がベースとなり、そのほかに受電設備や負荷率などを踏まえながら電力会社と協議し契約電力を決定します。

基本料金を抑えるにはデマンド値を抑えることが重要になります。1ヶ月全体を通して節電に取り組んでも、ピーク消費電力が大きくなる30分があると契約電力と基本料金が上がってしまうのです。

電気代削減対策が必要な背景と今後の見通し

為替の影響

現在円安の傾向が続いておりますが、電気代には為替レートも影響します。
日本の電気は主に火力発電で賄われており、電気を作るには原油や天然ガス、石炭などの燃料が必要です。原油などはドルで支払われるため、為替レートが円安になると燃料の調達コストが上がります。燃料調達価格は燃料費調整額を通じて電気料金に反映される仕組みです。

電気料金の内訳

2023年に各電力会社が値上げを実施した際は、世界情勢を受け燃料価格が世界的に高騰し、燃料調達コストが大幅に増えたことが原因となっています。燃料調整費額で上乗せできる金額の上限を上回り、各電力会社が赤字となったため電気代値上げへと踏み切ることとなりました。

酷暑乗り切り緊急支援の減額

上述の通り燃料の調達コストが上がると、各企業や家庭において電気代の負担が大きくなります。
政府は9月(8月使用分)から11月(10月使用分)までの3か月間、猛暑と円安による物価高が続いていることへの対策として「酷暑乗り切り緊急支援」の実施を決定しました。これにより9月は電気代高騰も落ち着きを見せていましたが、10月使用分からは補助が減額となります。

補助内容2024年8・9月使用分2024年10月使用分
低圧4.0円 / kWh2.5円/ kWh
高圧2.0円/ kWh1.3円/ kWh
特別高圧補助対象外補助対象外

支援は10月使用分をもって終了となるため、12月(11月使用分)は電気代のさらなる値上がりが懸念されます。

再エネ賦課金の値上がり

再エネ賦課金推移

「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力会社等が買取りに要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部として電気消費者が支払うものです。法人・個人に関わらずすべての電気消費者が支払っています。

年々値上がりを続けていた再エネ賦課金ですが、2023年度は燃料価格が高騰した影響で単価が大幅に下がりました。

再エネ賦課金の単価は、経済産業省が特別措置法で規定した算定方法に基づき毎年決定されます。

[再エネ買取費用(円) ー 回避可能費用(円) + 事務費]÷ 販売電力量(kWh)

回避可能費用とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることで、本来予定していた発電を中止し支出を免れることができる費用のことです。ここで示される「本来予定していた発電」には火力発電など燃料を使用する発電方法が含まれるため、燃料費の相場により回避可能費用は大きく変動することになります。これにより2023年度は回避可能費用等が増大し、再エネ賦課金単価は比較的安い水準となりました。2024年度は燃料価格が落ち着き、またこれにより電力の市場価格も下がったため、2023年度以前の水準に引き上げられることとなりました。

まとめ

電気代削減まとめ

ここまで電気代削減に向けた4つの対策をご紹介してまいりました。いずれも施設・設備面の改善により消費電力を抑える方法です。
建物の塗装やLED化、太陽光発電設備の導入など、さまざまな対策をご紹介してまいりましたが、すべて朝日エティックに一括でご依頼が可能です。工事内容別に各施工会社へ依頼する手間やご負担を軽減し、安定した品質の施工によりお客様の電気代削減へ向けた施策をご支援します。豊富な実績もございますので、導入をご検討中の方は是非一度当社へご相談ください。

▼関連事業
塗装工事
看板工事
電気・計装工事
LED照明器具


▼合わせて読みたいお役立ち情報
2024年(令和6年)LED照明導入に使える補助金・助成金と税制活用
2024年(令和6年) 最新版 省エネを支援する国や行政の補助金政策

※参考
資源エネルギー庁
 夏季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
 冬季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
資源エネルギー庁 
 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/
資源エネルギー庁HP 電気料金の仕組みについて
 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
経済産業省HP
 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html