特集

2024.01.10

# 省エネ# その他

企業の電気代削減に向けた効果的戦略【すぐ実践したい対策4選】

資源価格の高騰などにより電気代は値上がりが続き、日々多くの電気を消費する企業にとっては大きな負担となっています。
2024年1月、2月分についても大手電力会社より値上がりが発表されており、早めの対策が推奨されます。また地震などの災害により節電が必要になるシーンも少なくありません。企業としてできる電気代削減対策、そして今後の電気代値上がりの見通しについてご紹介してまいります。現状を見直し、持続可能な経営を目指しましょう。

どこから対策を実施すべきかイメージしやすいように、例として「卸・小売店」「製造業」の夏季・冬季における電力消費の内訳がわかるイメージを用意しました。左が夏季、右が冬季となります。
割合は違いますが、いずれも空調・照明にそれなりの電気を消費していることがわかると思います。一般的な設備のため、この2種に限らずどのような企業でもこれらの対策は必須です。

■卸・小売店の電気消費内訳

電力消費の内訳(卸・小売店-夏季)

電力消費の内訳(卸・小売店-冬季)

■製造業の電気消費内訳

電力消費の内訳(製造業-夏季)

電力消費の内訳(製造業-冬季)

出典:資源エネルギー庁
夏季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
冬季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)

照明器具のLED化

照明器具のLED化(屋内)

照明器具のLED化(屋外)

LEDは蛍光灯と比較して消費電力60%削減、寿命は約4倍と言われています。電気代だけでなくメンテナンス費用を含めて考えてもランニングコストの削減に繋がります。
また製品によっては調光機能もあるため、人の出入りが少ない時間帯や場所を選んで明るさを下げる設定にしておくことで更に効果的な節電も可能になります。
交換には初期費用が発生しますので、ランニングコストまできちんと把握した上で交換を検討すると良いでしょう。きちんと試算してくれる工事会社への依頼をお勧めします。

▼LEDが省エネとなる根拠は、下記の記事で更に詳しくご紹介しています。
何故、LEDは省エネなの? | LEDが省エネになる理由

▼関連実績
西棟4、5、7 階他システム照明LED 化工事| 三井不動産株式会社様
看板設置工事、店内及び整備室照明器具LED化工事| 株式会社ナカリンオート様

空調利用の最適化

遮熱塗料による空調利用最適化

排熱の効率を上げて空調利用を最適化

余計な電力消費を防ぐには空調機器が余計に稼働しないよう「排熱の効率を上げること」「屋外からの熱の影響を抑えること」が肝心です。
空調機器は室内の熱を外に運び出し室外機から熱を吐き出す仕組みになっています。排熱効率を上げるために、吹き出し口周辺に空気の流れを妨げるような物は置かないようにしましょう。またフィルター、熱交換器、ファンなどエアコン内部に汚れが付着すると温度変化や送風の機能が低下します。必要以上に電力を消費する原因となりますので、定期的なオーバーホールが推奨されます。

屋外の熱の影響を抑えるには、遮熱塗料や断熱塗料による建物の保護がお勧めです。
遮熱塗料は太陽光による熱を反射する働きがあります。熱くなった屋根や外壁の影響を受けると室内温度が上昇しますので夏場の気温の上昇を抑えたい場合に適しています。
一方、断熱塗料には熱を伝わりにくくするという働きがあります。夏は屋内に熱を伝えにくく、冬は内側の熱を逃がさない機能も兼ね備えています。

太陽光発電設備の導入

屋根設置型太陽光発電設備

地上設置型太陽光発電設備

電気を自給自足し、電力会社から購入する電気を少なくすることが可能です。
太陽光発電は全量売電型、余剰売電型、自家消費型という3つに分類でき、FIT制度における電力の固定買取価格が年々下がってきていることから費用削減としてもっとも効率的なのは自家消費型とされています。

一方、2024年は倉庫や工場などを有している企業にとっては、自家消費以外にもメリットが見込まれる状況です。
屋根に設置する太陽光発電の導入拡大が重要視されていることから、2024年度は法人向け屋根区分の固定買取価格が新設され、地上設置型よりも固定買取価格が3円高く設定されています。容量による区別もなく10kW以上で一律の買取価格となります。
(2023年度の認定取得を先送りにされる事態を防ぐため、屋根設置型のみ2023年度下半期の申請から2024年度の価格が適用されています。)

電源規模2021年度2022年度2023年度2024年度
事業用太陽光発電
(地上設置)
10kw以上
50kw未満
12円11円10円10円
事業用太陽光発電
(地上設置)
50kw以上
入札対象外
11円10円9.5円9.2円
事業用太陽光発電
(屋根設置)
10kw以上地上設置と
区別なし
地上設置と
区別なし
(上半期まで)地上設置と区別なし
(下半期より)12円
12円

蓄電池の導入

蓄電池設備の導入

太陽光発電は天候に発電出力を左右されてしまうため蓄電池との併用が望ましいです。災害時の非常用電源としても活用できる他、ピーク時の使用電力を蓄電地から賄うことでピークカットが可能になります。

高圧電力契約の場合は、ピークカットを行うことで電気料金のうち基本料金を抑えることに繋がります。
基本料金は月々の電気使用量に関わらず、主に【契約電力】によって計算方法が変わります。500kw未満の高圧電力の場合、契約電力は実量制によって算出されます。

契約電力高圧電力
(50~500kw)
高圧電力
(500~2000kw)
特別高圧電力
(2000kw以上)
契約電力の計算方法実量制協議制協議制

最大デマンド値と基本料金

ここで基準となるのは「過去1年間のピーク消費電力(デマンド値)」です。
デマンド値とは、「30分間のうちに消費された電力の平均値」のことを言います。30分ごとの平均使用電力量を計測し、1ヶ月のうち最も電気使用量の多かった時間帯の数値がその月のデマンド値としてカウントされます。そして当月を含む直近12か月のうち最も高いデマンド値が契約電力の基準となるのです。
500kw以上の場合は協議制となりますが、その場合も最大デマンド値がベースとなり、そのほかに受電設備や負荷率などを踏まえながら電力会社と協議し契約電力を決定します。

基本料金を抑えるにはデマンド値を抑えることが重要になります。1ヶ月全体を通して節電に取り組んでも、ピーク消費電力が大きくなる30分があると契約電力と基本料金が上がってしまいます。

電気代値上がりの背景と今後の見通し

燃料価格の高騰

2022年ロシアのウクライナ侵攻を背景に燃料価格が世界的に高騰し、日本の燃料輸入価格も高騰しました。日本で主力となる火力発電において燃料の約90%は天然ガス(LNG)や石炭で賄われており、燃料価格は電気料金に大きく影響します。
2024年1月は天然ガスや原油の価格が上昇したことが要因となり、大手電力会社10社のうち5社(北海道電力、東京電力、中部電力、九州電力、沖縄電力)で値上がりとなりました。
2024年2月はさらに関西電力以外の9社で値上がりが発表されています。

激変緩和措置の縮小

燃料費高騰によって増加した企業や家庭の負担を軽減するため政府は「激変緩和措置対策」を実施し、2023年2月(1月使用分)の電気料金から補助が適用されています。
2023年10月(9月使用分)からは下表のとおり補助額は半分となっています。
現在の補助は2024年4月まで実施が予定されていますが、2024年5月は支援の幅がさらに半分ほどに縮小する見通しです。

補助内容2023年2月から9月まで2023年10月から2024年1月まで
低圧燃料費調整額を「7円 / kWh」値引き燃料調整額を「3.5円/kWh」値引き
高圧燃料費調整額を「3.5円 / kWh」値引き燃料調整額を「1.8円/kWh」値引き
特別高圧補助対象外補助対象外

再エネ賦課金の変動

10月から導入されるインボイス制度によって、電気料金(再エネ賦課金)の値上がりが見込まれています。

【再エネ賦課金とは?】
「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力会社等が買取りに要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部として電気消費者が支払うものです。法人・個人に関わらずすべての電気消費者が支払っています。

【なぜインボイス制度で値上がりの可能性が出てくるのか?】
FITにより電力会社は再生可能エネルギーで発電した電力を発電事業者から買い取ることを義務付けられていますが、これまでは「仕入れ税額控除」という仕組みにより【電気を発電事業者から買い取る時に支払う消費税】と【消費者に電気を売る時に受け取る消費税】は相殺されているとみなし、電力会社は納税する必要がありませんでした。
インボイス制度開始後は相殺するのにインボイスが必要になりますが、発電事業者の多くは「免税事業者」に当たるため電力会社はインボイスを受け取れません。これにより各電力会社の消費税負担が年58億円発生すると経済産業省により試算されています。資源エネルギー庁はこの負担を再エネ賦課金で賄う方針を示しているため、来春から値上がりが見込まれています。

まとめ

電気代削減まとめ

ここまで【使用電力量】を抑える取り組みと、ピークカットによる【基本料金】を抑える取り組みをご紹介してきました。
建物の塗装やLED化、太陽光発電設備の導入など、さまざまな対策をご紹介してまいりましたが、いずれも朝日エティックに一括でご依頼が可能です。豊富な実績もございますので、導入をご検討中の方は是非一度当社へご相談ください。


▼関連事業
塗装工事
看板工事
電気・計装工事
LED照明器具


▼他にもこんな記事がよく読まれています
2023年(令和5年)LED照明導入に使える補助金・助成金と税制活用
2023年(令和5年) 最新版省エネを支援する国や行政の補助金政策


※参考
資源エネルギー庁
 夏季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
 冬季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
資源エネルギー庁 
 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/
資源エネルギー庁HP 電気料金の仕組みについて
 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
経済産業省HP
 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html