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公開日:2025.11.18

# 塗装工事# 工事

コンクリート床の防塵塗装|種類・耐用年数・導入の注意点

コンクリート床の防塵塗装

工場や倉庫のコンクリート床に、「ひび割れ」や「ホコリ・粉塵の発生」といった問題はありませんか?これらの劣化を放置すると、作業環境の悪化や製品への影響、さらには従業員の健康被害にもつながる恐れがあります。その有効な対策として「防塵塗装」があり、床を保護し、快適で安全な作業環境を実現します。この記事では、コンクリート床の防塵塗装について、必要性、メリット、水系・溶剤系の塗料の種類、耐用年数、導入時の注意点まで詳しく解説します。

防塵塗装の目的

防塵塗装

防塵塗装とは、コンクリート床の表面に塗料を塗布して、粉塵の発生を抑えつつ耐久性や美観を向上させる床仕上げ工法です。
工場や倉庫では、重機や人の往来によってコンクリート床に大きな負荷がかかり、そのままでは摩耗や衝撃によって粉塵(チョーキング現象)が発生し、作業環境や製品品質に影響を及ぼすことがあります。
防塵塗装では、床表面を強固な塗膜で覆うことで粉塵の抑制や衛生環境の維持が可能になるほか、耐摩耗性や美観の向上、必要に応じて防滑性や耐薬品性などの特殊機能も付与できます。

防塵塗装の必要性

【1】粉塵による製品・設備への悪影響
・精密機械への粉塵侵入による摩耗や故障リスクの増大
・製品への異物混入や不良品発生による品質低下
・従業員の呼吸器系への影響など、健康被害の可能性
・頻繁な清掃作業が必要となり、人件費や管理コストが増加

【2】過酷な使用環境による耐久性の課題
・重量物の落下、油や薬品の飛散などで負荷がかかる
・ひび割れや欠け、表面の摩耗が進行しやすく、放置すると大規模な補修が必要となる
・段差や穴ができ、つまずきや転倒、運搬車両のトラブルなど安全上のリスクを高める

【3】管理・美観の低下
・汚れやシミが床に浸透しやすく、清潔感を損なう
・床の劣化が、整理整頓された作業環境の維持を困難にする
・来客時(取引先や監査員など)に企業イメージを損なう可能性がある

防塵塗装の4つの導入メリット

粉塵抑制による衛生・品質管理の向上

最も直接的なメリットは、コンクリート表面からの粉塵発生を劇的に抑制することです。塗膜がコンクリートを密閉するため、床から舞い上がるホコリが激減され、精密機器工場での異物混入リスク低減、食品・医薬品倉庫での衛生基準クリアに大きく貢献し、製品品質の安定化・向上に繋がります。

清掃性の向上とメンテナンス工数削減

塗装された床は表面が平滑になり、汚れや油、薬品などが浸透しにくくなります。これにより、日常の掃き掃除や拭き掃除が格段に楽になり、清掃にかかる時間や労力を大幅に削減できます。清潔な状態を容易に保てるため、メンテナンス工数の削減にも貢献します。

作業の安全性・効率性向上と事故防止

防塵塗装は、塗料の種類によっては防滑性を付与することも可能です。これにより、水や油で濡れやすい作業場での転倒事故リスクを低減し、従業員の安全を守ります。また、床に区画線や通路表示などを明確に塗装することで、動線を整理し、作業効率の向上や誤操作の防止、構内車両の安全運行にも役立ちます。

5S活動の推進と企業イメージアップ

カラーゾーニングによる区画ごとの色分けは、整理整頓(5S活動)の徹底を促進し、作業者の意識向上に繋がります。整理された美しい床は、来訪者(取引先や監査員など)への企業イメージ向上にも大きく貢献します。

防塵塗装の種類「水系」と「溶剤系」の特徴

工場・倉庫の防塵塗装に使用される塗料は、大きく分けて水系と溶剤系の2種類があります。当社では、お客様の工場・倉庫の用途、求める機能性、稼働状況、環境への配慮などを詳しくヒアリングし、最適な塗料と施工プランを提案させていただきます。

水系防塵塗料

水系防塵塗料は、希釈剤として水を使用するタイプの塗料です。

水系防塵塗料特徴
メリット【1】低臭性
刺激臭が少なく、作業中の臭いによる不快感を抑えられます
【2】環境・人体への配慮
有害物質の発生が少なく、環境と作業者の健康に配慮しています
【3】防火性
引火性のある物質を含まないため、火気厳禁のエリアでも安全性が高いです
デメリット【1】乾燥時間
溶剤系に比べて乾燥に時間がかかる傾向があります
【2】塗膜の耐久性
耐薬品性や耐摩耗性が求められる環境では、溶剤系塗料の方が優位な場合があります
適した場所食品・飲料工場、製薬工場、精密機械工場、組立工場、倉庫内の通路や軽作業エリア、従業員の休憩室・更衣室など

溶剤系防塵塗料

溶剤系防塵塗料は、希釈剤としてシンナーなどの有機溶剤を使用するタイプの塗料です。

溶剤系防塵塗料 特徴
メリット【1】高耐久性
耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性に優れています
【2】乾燥速度
比較的速く乾燥するため、工期を短縮できる場合があります
【3】密着性
コンクリートへの密着性が高く、重機が頻繁に走行する場所でも優れた耐久性を発揮します
デメリット【1】強臭性
特有の臭いが発生するため、十分な換気設備の確保などが不可欠です
【2】防火管理
引火性のある物質を含むため、火気厳禁であり厳重な注意と対策が必要です
適した場所一般製造工場、重機工場、化学工場、大型倉庫の積載エリア、屋外の荷捌き場、駐車場など

防塵塗装の「耐用年数」と「長持ちの秘訣」

耐用年数

工場・倉庫の防塵塗装の耐用年数は、使用する塗料の種類(水系・溶剤系)、塗膜を形成する樹脂の種類(アクリル、ウレタン、エポキシなど)、塗膜の厚み、そして何よりも工場・倉庫の使用状況やメンテナンス状況によって大きく異なります。

種類耐用年数価格帯
アクリル樹脂系塗料約2~4年 :低負荷エリアに適しています。安価
ウレタン樹脂系塗料約3~7年 :中負荷エリアに適しています。中程度
エポキシ樹脂系塗料約5~10年:高負荷エリアに適しています。高価
※注意:あくまで一般的な目安期間であり、塗料メーカー、施工方法、稼働頻度に左右されます

長持ちの秘訣

【1】徹底した下地処理
施工時の下地処理が不十分だと、塗膜の密着不良による剥がれや早期劣化に繋がります。
専門業者による確実な下地処理が、塗膜の寿命を左右します。

【2】使用環境に応じた塗料と工法の選定
フォークリフトの走行が多い場所には厚膜のエポキシ系、食品工場には水系の低臭タイプなど、
工場・倉庫の使用環境や負荷に見合った、適切な塗料の種類と工法を選ぶことが極めて重要です。

【3】定期的な清掃とメンテナンス
日常的な清掃で汚れや油分を放置せず、定期的なワックス塗布や部分補修など、
適切なメンテナンスを行うことで、塗膜を長持ちさせることができます。

【4】過度な負荷の回避
想定以上の重量物や鋭利な物体の落下、タイヤ痕の放置など、
塗膜に過度な負荷を与えないよう、作業方法の見直しや保護対策も検討しましょう。

防塵塗装を導入する際の注意点

下地の状態確認と、適切な処理の徹底

防塵塗装を導入する際の注意点(下地の状態確認と、適切な処理の徹底)

防塵塗装の仕上がりや耐久性は、塗る前の床(下地)の状態に大きく左右されます。工場・倉庫のコンクリート床は、油汚れ、ひび割れ、深い摩耗、既存塗膜の劣化などが顕著な場合があります。これらを適切に処理せず塗装すると、塗膜の剥がれや早期劣化に直結します。
専門業者による正確な下地診断と、それに合わせた適切な下地処理(研磨、補修、清掃など)が不可欠です。

稼働への影響と、施工スケジュールの調整

防塵塗装を導入する際の注意点(稼働への影響と、施工スケジュールの調整)

塗装作業中は、対象エリアの稼働を停止するか、制限する必要があります。水系塗料であれば臭いは少ないものの、乾燥期間は確保しなければなりません。一方、溶剤系塗料を用いる場合は、強い臭いへの対策や十分な換気、そして火気厳禁といった安全管理を徹底する必要があります。
これらの点を踏まえ、施工エリアの特定、工程の細分化、夜間・休日作業の検討など、稼働への影響を最小限に抑えるための綿密な施工計画が求められます。

十分な乾燥と、養生期間の確保

防塵塗装を導入する際の注意点(十分な乾燥と、養生期間の確保)

塗装後、塗膜が完全に硬化し、本来の性能を発揮するには、塗料の種類や膜厚、環境(温度・湿度)に応じた一定の乾燥期間が必要です。特に水系塗料は溶剤系に比べ乾燥に時間がかかる傾向があります。この期間中にフォークリフトの走行や重量物の設置など、床に負荷をかけると、塗膜の品質低下や損傷のリスクがあります。
使用開始までのスケジュールに余裕を持ち、計画的に養生期間を確保することが極めて重要です。

工場・倉庫向け最適な防塵塗装を選ぶポイント

情報を具体的に整理することで、必要な塗膜性能や、水系・溶剤系どちらが適しているかの方向性が絞り込まれます。また単に「粉塵対策」だけでなく、以下の追加機能が必要かどうかを具体的に検討しましょう。

使用用途と環境を明確にする

【1】どのような施設か? (整備工場、食品工場、電子部品工場、精密機械工場、物流倉庫、資材置き場など)

【2】床にはどのような負荷がかかるか? (フォークリフトの往来頻度と種類、パレットや重量物の設置、人の通行量など)

【3】どのような物質を扱っているか? (油、薬品、溶剤、水など)

【4】精密機械や電子部品を扱っているか?

【5】臭気や環境規制が厳しい場所か?

【6】屋外に面した場所か?

工場・倉庫に求める機能性をリストアップする

【1】防滑性は必要か? (水濡れや油汚れが発生しやすい場所での転倒事故防止など)

【2】耐薬品性・耐油性は必要か? (薬品や油の飛散・浸透防止と、清掃性の向上など)

【3】帯電防止性は必要か? (静電気による製品不良や機械故障、火災リスクの防止など)

【4】耐熱性は必要か? (高温環境下での塗膜劣化防止など)

【5】抗菌・防カビ性は必要か? (食品・医薬品工場での衛生管理強化など)

【6】美観性・視認性は必要か? (作業効率向上、安全区域の明確化、企業イメージ向上など)

「防塵塗装」で工場・倉庫の価値を向上

工場・倉庫のコンクリート床に対する防塵塗装は、単なる美化に留まらず、生産性、安全性、そして企業イメージの向上に貢献する極めて重要な投資です。ホコリや粉塵の発生による品質リスク、床の劣化による安全リスク、清掃の負担増大といったお悩みを抱えている場合は、ぜひ防塵塗装をご検討ください。
朝日エティックは、工場・倉庫の床環境に関するプロフェッショナルとして、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。床に関するお悩みやご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが丁寧に対応させていただきます。
 

「防塵塗装」に加えて、施設全体のメンテナンスもお任せください

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当社は、「建築・土木工事」、「内外装工事」、「電気・計装・防爆工事」、「看板工事」など塗装工事以外のあらゆる事業も展開しており、施設にいま必要な修繕工事もあわせて一括対応することができます。メンテナンスが必要な箇所は、現地調査にてチェックし、施設トータルメンテナンスとしてご提案も可能です。