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公開日:2025.04.08 最終更新日:2025.07.07
# 省エネ# その他
企業向け電気代削減マニュアル【コストカットに効く4選】
日々多くの電気を消費する企業にとって、電気代削減は重要な課題です。「経費は減らしたい、でも業務に支障を出すわけには…」ほとんどの企業がそのようなジレンマを抱えています。電気代は、単純に使用量を減らすだけでなく最適化によってコストカットが実現できる項目です。本記事では電気が多く使用される箇所を探り、削減に効果的な対策をご紹介してまいります。企業としてできる電気代削減対策を実施し、持続可能な経営を目指しましょう。
電気代削減を検討するには、まず「どこから手を付けるか」を考えなくてはなりません。
下図は「卸・小売店」「製造業」の夏季・冬季における電力消費の内訳を示した円グラフです。左が夏季、右が冬季となります。業務内容は大きく異なる2つですが、いずれも空調・照明だけでそれなりの割合を占めていることがわかります。一般的な設備のためどのような業種でも業務中にこれらを止めることはまずありません。空調・照明の電力消費がどれだけ効率化されているかによって、中長期的に経営に大きな差をもたらす可能性があります。
■卸・小売店の電気消費内訳
■製造業の電気消費内訳
出典:資源エネルギー庁
夏季の省エネメニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
冬季の省エネメニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
対策1:照明器具のLED化
LED化による電気代削減は非常に効果的です。蛍光灯と比較したとき、LEDは消費電力50%削減となります。
そのほかにも長寿命(蛍光灯の約4倍)で光源の発熱量も少ないといった特徴があり、維持管理コストの軽減、そして間接的に空調の稼働を軽減する効果も期待できます。
蛍光灯は2027年末に製造・輸出入禁止となってしまうため、今後駆け込み需要による価格高騰や工事日程の調整がつかなくなる事態も懸念されます。
LED化は早めに検討を進めることをお勧めします。
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対策2:空調利用の最適化
余計な電力消費を防ぐには空調機器が余計に稼働しないよう「排熱の効率を上げること」「屋外からの熱の影響を抑えること」が肝心です。
排熱の効率を上げるには、まず室外機をチェックします。空調機器は室内の熱を外に運び出し室外機から熱を吐き出す仕組みになっています。排熱効率を上げるために、吹き出し口周辺に空気の流れを妨げる物を置いたり、ごみが付着した状態で放置することは避けましょう。フィルター、熱交換器、ファンなどのエアコン内部の汚れ対策には定期的なオーバーホールが推奨されます。
屋外からの熱の影響を抑えるには、塗料による建物の保護がお勧めです。
夏場、屋外の熱が屋内に流れ込む主な原因は、屋根・外壁・窓ガラスからの熱伝導や日射の侵入です。特に日差しの強い時間帯は、これらの部位を通じて大量の熱が室内に入り込むことで空調機器の稼働に負荷がかかります。
遮熱塗料は、太陽光に含まれる赤外線を反射する働きがあり、屋根や外壁の表面温度の上昇を抑えるのに効果的です。熱くなった外装材の影響を受けにくくなり、室温の上昇を軽減できます。一方、断熱塗料には熱を伝えにくくする性質があり、夏は外の熱を室内に伝えにくく、冬は暖房による熱を外へ逃がしにくくします。
窓からの熱流入対策としてガラスの遮熱コーティングも有効です。
建物に入る日射熱のうち、約70%が窓を通じて侵入するとされており、特に南・西面の窓は日射を多く受けます。
窓ガラスに遮熱コーティングを施すことで、可視光は確保しながら紫外線や熱線を効果的に遮断し、室内温度の上昇を抑えます。既存の窓に施工可能なため、大規模な改修を行わずに快適性と省エネ効果を高める手段として注目されています。
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対策3:太陽光発電設備の導入
太陽光発電設備を導入すれば、電気を自給自足し電力会社から購入する電気を少なくすることが可能です。
中でも工場やスーパー、冷蔵倉庫など消費電力が多く屋根が広い施設は高い費用対効果が期待できます。
屋根に設置する太陽光発電設備の導入拡大が重要視されていることから、2024年に法人向け屋根区分の固定買取価格が新設され、2025年10月以降は「初期投資支援スキーム」が適用されます。
これまでのFIT制度は電力の固定買取価格が年々下降し投資回収期間が長期化する傾向にありましたが、これが太陽光発電設備の導入促進の妨げになっていることを受け、初期投資支援スキームでは早期の投資回収を想定した調達価格・基準価格となります。
導入から最初の5年間は19円/kWhの高単価で売電が可能で、短期間で収益が得られるため資金回収の見通しが立てやすくなります。またその後の15年間は8.3円/kWhでの売電が保証されており、売電単価は下がりますが発電量次第では長期的にも安定した収益が見込めます。発電電力の自家消費を積極的に活用することが重要なポイントです。
2025年7月1日以降の認定申請が対象となります(それ以前は従来のFIT価格が適用)。
電源 | 規模 | 2024年度 | 2025年度 (上半期) | 2025年度 (下半期) | 2026年度 |
事業用太陽光発電 (地上設置) | 10kw以上 50kw未満 | 10円 | 10円 | 10円 | 9.9円 |
事業用太陽光発電 (地上設置) | 50kw以上 入札対象外 | 9.2円 | 8.9円 | 8.9円 | 8.6円 |
事業用太陽光発電 (屋根設置) | 10kw以上 | 12円 | 11.5円 | 19円(~5年) 8.3円(6~20年) | 19円(~5年) 8.3円(6~20年) |
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対策4:蓄電池の導入
太陽光発電による電力を効率的に使用するには蓄電池の導入が有効です。天候に左右されることなく再生可能エネルギーが活用できるためCSR活動の一環としても注目されています。災害時などは長時間に及ぶ停電にも対応できるようになるため、BCP対策を目的として太陽光発電設備と併用して導入している企業もあります。
高圧電力契約の場合は、ピーク時の使用電力を蓄電地から賄うことで電気料金のうち基本料金を抑えることに繋がります。
基本料金は月々の電気使用量に関わらず、主に【契約電力】によって計算方法が変わります。500kw未満の高圧電力の場合、契約電力は実量制によって算出されます。
ここで基準となるのは「過去1年間のピーク消費電力(デマンド値)」です。
デマンド値とは、「30分間のうちに消費された電力の平均値」のことを言います。30分ごとの平均使用電力量を計測し、1ヶ月のうち最も電気使用量の多かった時間帯の数値がその月のデマンド値としてカウントされます。そして当月を含む直近12か月のうち最も高いデマンド値が契約電力の基準となるのです。
500kw以上の場合は協議制となりますが、その場合も最大デマンド値がベースとなり、そのほかに受電設備や負荷率などを踏まえながら電力会社と協議し契約電力を決定します。
1ヶ月全体を通して節電に取り組んでも、ピーク消費電力が大きくなる30分があると契約電力と基本料金が上がってしまうため、基本料金を抑えるにはデマンド値を抑えることが重要になります。
電気代の今後の見通し
ここまで施設・設備面の改善により消費電力を抑える方法をご紹介してまいりましたが、実際今後の電気料金はどうなっていくのでしょうか。
2025年7月以降、電気代は一時的に値下がりの見込みとなっています。燃料費調整額が前月よりも抑えられること、そして夏期のエアコン使用増加による負担を軽減するための補助が実施されることが主な要因です。
電気・ガス料金支援
政府は物価高対策の一環として、7月使用分から9月使用分までの3か月間、一般家庭や企業を対象に電気代・ガス代の補助を実施することを発表しました。エアコンによる電力使用がピークとなる夏期の負担を軽減することを目的としており、最も暑さが厳しくなるとみられる8月に重点を置いて補助額が上乗せされます。
補助内容 | 20257・9月使用分 | 2025年8月使用分 |
低圧 | 2.0円 / kWh | 2.4円/ kWh |
高圧 | 1.0円/ kWh | 1.2円/ kWh |
短期的に見れば9月使用分まで電気代は値下がりする見込みです。しかし期間限定の措置であり、補助終了後は再エネ賦課金の影響等によってまた値上がり傾向に戻る可能性もあります。
再エネ賦課金の値上がり
「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力会社等が買取りに要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部として電気消費者が支払うものです。法人・個人に関わらずすべての電気消費者が支払っています。
再エネ賦課金の単価は、経済産業省が特別措置法で規定した算定方法に基づき毎年決定されます。
2025年度は前年度から更に値上がりし、3.98円となりました。この金額は4月使用分から適用されるため、5月請求分から値上がりとなります。
まとめ
ここまで電気代削減に向けた4つの対策をご紹介してまいりました。
いずれも施設・設備面の改善により消費電力を抑え、中長期的に電気代コストの最適化を図るものです。建物の遮熱やLED化、太陽光発電設備の導入など、さまざまな対策をご紹介してまいりましたが、すべて朝日エティックで対応実績がございます。
工事内容別に各施工会社へ依頼する手間やご負担を軽減し、安定した品質の施工によりお客様の電気代削減へ向けた施策をご支援します。導入をご検討中でしたら、是非一度当社へご相談ください。
▼関連事業
塗装工事
看板工事
電気・計装工事
LED照明器具
※参考
資源エネルギー庁
夏季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
冬季の省エネ・節電メニュー 事業者向けメニュー(本州・四国・九州版)
資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/
資源エネルギー庁HP 電気料金の仕組みについて
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
経済産業省HP
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html