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公開日:2026.05.08

工場の電気代削減はどこから対策する?値上がりする要因と料金の仕組み

電気代の高騰はあらゆる企業にとって避けて通れない大きな課題です。特に工場経営においては、電力は日々の生産活動に不可欠なものですが、電気代は時に収益を圧迫し、経営計画への影響を及ぼします。
本記事では、工場の電気代がどのような要素で構成され何が原因で高騰するのかという全容とともに、電気代削減につながる対策をご紹介してまいります。

基本料金契約容量に応じて毎月定額で発生する料金です。使用した電力の最大値によって決まるため、瞬間的なピーク電力が料金を押し上げる要因となります。
電力量料金実際に使用した電力量に応じて発生する料金です。燃料費の変動によって、燃料調整費額が加算あるいは減算されます。
燃料費調整額火力発電の燃料となる原油、LNG(液化天然ガス)、石炭などの輸入価格変動を電気料金に反映させるもので、国際情勢や為替レートによって大きく変動します。特に近年、国際的な燃料価格の高騰がこの調整額を押し上げる主要因となっています。
再エネ賦課金再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされています。電力会社が再エネ由来の電気を買い取るのに要した費用を、全ての電気消費者が負担します。2012年以降値上がりの傾向が続いています。

月々の電気料金は、主にこの4つの要素で構成されています。燃料費や再エネ賦課金は、国際情勢や政策動向など外部要因によって大きく左右されます。これらの料金は使用電力量に応じて課されるため、1ヶ月の使用電力量を効率的に減らしていくことが求められます。

工場における電力消費の実態

電力消費の内訳(製造業-夏季)

左図は資源エネルギー庁の資料で確認した製造業における電力消費の内訳です。「生産設備」が約83%を占める一方で、「一般設備(空調・照明など)」は約17%となります。
この数値を見れば、生産設備の効率化が最も大きな省エネ効果を生む可能性を秘めていると考えられます。
しかし、生産設備の改善は、個々の生産品目や業種、そして導入されている設備の特性に深く依存するため、画一的な対策を講じることが困難な場合が多く、多大な時間と費用を要する大規模な投資となる傾向があります。
そのため本記事ではまず、多くの工場に共通して存在する「一般設備」に焦点を当てていきます。

工場の電気代削減対策

その① 空調機の負荷を軽減する

工場内は生産設備の発熱や建物の輻射熱など、熱がこもりやすい空間です。熱中症対策が義務化された今、従業員の作業環境、安全性確保のためにも空調機の稼働は欠かせません。
多くの工場は、広大な空間を確保するため簡易な構造や金属製の屋根・壁を持ちます。耐久性の高さから工場に広く採用されている折板屋根は、断熱性が低く、外気温の影響を受けやすい建材です。
このため、夏場は外部からの熱をダイレクトに内部に伝え、冬場は内部の熱が逃げやすく、空調設備が高負荷で稼働し続ける状況となります。
建屋そのものが外気温の影響を受けやすい構造である場合、建物自体の断熱性能向上を検討する必要があります。

屋根・壁

遮熱塗装遮熱塗料は太陽光の赤外線を反射することで、夏季における屋根や外壁の表面温度上昇を抑制し、室温上昇の軽減に貢献します。
遮熱シート高い反射性能を持ち、輻射熱による熱伝導を防ぎます。製品によって屋内用(天井に設置するタイプ)・屋外用(屋根上に設置するタイプ)があります。
断熱塗装断熱塗料は熱の伝導を低減する特性を持つため、夏季は外部からの熱侵入を、冬季は室内からの熱放出を抑制し、年間を通じて空調負荷の軽減に繋がります。

窓ガラス

遮熱コーティング可視光の透過性を維持しつつ、紫外線や熱線を効果的に遮断します。大規模な改修を伴わないため、比較的導入のハードルが低い対策です。
遮熱フィルム太陽の光や熱による窓際温度の上昇を抑え、空調機の負荷を軽減します。地震の際はガラス片の飛散防止にも効果的です。

その② 照明のLED化

LED照明への交換は、電力消費量を削減できる直接的かつ即効性のある省エネ対策です。
2027年末には、水銀に関する水俣条約に基づき、蛍光灯の製造・輸出入が全面的に禁止されます。蛍光灯の交換需要が増加し工事日程の調整が困難になる事態が懸念されますので、LED化は早期に検討を進めることをお勧めします。
蛍光灯からLEDに変更した場合、下記のコストメリットが見込めます。

消費電力削減蛍光灯と比較して最大50%消費電力が削減できます。
長寿命蛍光灯の約4倍という長い寿命を持つため、交換などのメンテナンスコストも低減します。
発熱量の低減光源からの発熱量が少ないため、工場内の温度上昇を抑制間接的

その③ 太陽光発電設備の活用

電気代削減対策としては、電力消費を削減する「省エネ」だけでなく、自社で電力を生み出す「創エネ」の視点を取り入れることも有効です。
広大な屋根面積を持つ施設は、新たに土地を確保する費用や手間をかけずに、既存の屋根を有効活用することで効率的な発電スペースを創出できるため、近年は屋根設置型太陽光発電設備の導入拡大が推進されています。
工場や物流倉庫など、電力消費量が大きく広い屋根を持つ施設では、高い費用対効果を見込むことができます。

【企業導入を後押しする制度とメリット】
2025年10月から「初期投資支援スキーム」が適用されており、導入から最初の5年間は19円/kWhという高単価での売電が可能です。短期間での収益確保が期待でき、資金回収計画の立案が容易になります。また、その後の15年間は8.3円/kWhでの売電が保証されます。
買取価格は電気料金水準と同等かそれ以下になりますので、太陽光発電設備で生成された電力は、自家消費することで最も経済的なメリットが得られます。

この自家消費をより効率的に行うためには、蓄電池の導入が有効です。蓄電池を併用することで、天候に左右されることなく再生可能エネルギーを活用できるようになり、企業のCSR活動の一環としても注目されています。また、災害発生時における長時間の停電に対応可能となるため、BCP(事業継続計画)対策を目的として太陽光発電設備と合わせて導入されるケースも増えています。

まとめ

電気代の構成要素と高騰要因を解説するとともに、効率的に電力消費量を減らすため、今回はまず多くの工場に共通する「一般設備(空調・照明関係)」に焦点を当て、以下の削減対策をご紹介しました。

空調機の負荷軽減: 工場建屋の断熱性能向上として、屋根・壁への遮熱塗装・シートや断熱塗装、窓ガラスへの遮熱コーティング・フィルム導入。建物の外側から熱の侵入を根本的に防ぎ、空調の過負荷を削減することで、快適な作業環境と電気代削減を両立します。

照明のLED化: 消費電力を最大50%削減し、長寿命化によるメンテナンスコスト低減、発熱量低減による空調負荷軽減も期待できる即効性のある対策です。

太陽光発電設備の活用: 屋根設置型太陽光発電は、自家消費により経済的なメリットを最大化できます。蓄電池との併用は、再生可能エネルギーの安定活用とBCP対策としても有効です。

これらの対策は、特に冷房需要が高まる時期のエネルギーコスト削減に効果を発揮します。朝日エティックでは、工場の作業環境を建物の構造や築年数に応じ効率的に改善するためのソリューションを提供しております。
内容やコストイメージについては、下記サービス紹介資料よりご確認いただけます。

初期投資の負担を軽減するため、国や地方自治体が提供する補助金・助成金の積極的な活用も推奨されます。
「省エネ」と「創エネ」、そして「見える化」を組み合わせることで、電気代高騰という課題を克服し、持続可能で強靭な経営基盤を構築しましょう。

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